ヒルムシロ科(読み)ヒルムシロか(その他表記)Potamogetonaceae

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒルムシロ科」の意味・わかりやすい解説

ヒルムシロ科
ヒルムシロか
Potamogetonaceae

単子葉植物イバラモ目の1科。世界のほぼ全域に2属約 100種がある。淡水中に生じる多年草で,水底の泥中に根茎があり,長いつる状の茎を伸ばして沈水葉や浮水葉をつける。水中葉をつける種ではリボン状の細い葉を互生し,葉の基部に鞘をつくる。花は葉腋から出る穂状花序につき,小さくて目立たない。花被片は4枚,おしべも4本あり,中央に4個の独立しためしべが集る。これらのめしべがそれぞれ独立した球形核果となるので,果実全体は集合果をなす。日本にはヒルムシロ属 Potamogetonの 10余種が各地に自生する。なお,海水中に生じるアマモ属 Zosteraやスガモ属 Phyllospadixをこの科に含める場合もあるが,最近ではこれらはアマモ科 Zosteraceaeとして別科に扱うのが普通である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒルムシロ科」の意味・わかりやすい解説

ヒルムシロ科
ひるむしろか
[学] Potamogetonaceae

単子葉植物。すべて水草で、葉は糸状または扁平(へんぺい)。雌雄同株または異株。花序は穂状または散房状、花被片(かひへん)はない。雄しべ雌しべは1~4本、葯隔(やくかく)がときに花被片状になる。子房は上位。果実内に1個の種子ができ、胚乳(はいにゅう)はない。受粉風媒または水媒であるが、これは、水草類が陸上生活からふたたび水中生活に舞い戻った証拠の一つとされている。世界に8属120種知られ、淡水生では浮葉性または沈水性のヒルムシロ属に約100種、汽水生では沈水性のカワツルモ属に5種ある。なお、イトクズモ科はごく近縁の科で、ヒルムシロ科に含めることもある。

[大滝末男 2018年10月19日]

 APG分類でもヒルムシロ科とされる。APG分類の場合はイトクズモ属、ヒルムシロ属、リュウノヒゲモ属など7属約100種が含まれる。

[編集部 2018年10月19日]


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世界大百科事典(旧版)内のヒルムシロ科の言及

【海産顕花植物】より

…分類学的にはすべてが単子葉植物の沼生目(オモダカ目)の中に含まれる。この目の中のトチカガミ科,ヒルムシロ科,イトクズモ科などの淡水生植物が,海水中での生活に適応するように進化したものと考えられている。世界に12属約100種があり,いずれも海岸に近い浅い海底に大きな群落をつくり,藻場を海藻とともに形成している。…

※「ヒルムシロ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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