山川 世界史小辞典 改訂新版 「ビザンツ美術」の解説
ビザンツ美術(ビザンツびじゅつ)
世俗的なものは残されている例が少なく,東方キリスト教美術としてのビザンツ美術にはヘレニズムと抽象の潮流が交錯している。その最初の黄金時代は6世紀で,コンスタンティノープルの聖ソフィア聖堂をはじめとする多様な聖堂建築と,その内部を飾ったモザイク壁画に代表される。第2の黄金時代は9世紀から12世紀にかけてで,ビザンツ聖堂建築の特色としてのギリシア十字形式が確立し,そこを飾ったモザイクやフレスコの壁画とイコンに優れたものが生まれた。帝国が政治的に衰退したパレオロゴス朝でも,首都やミストラスの聖堂のフレスコ壁画にはパレオロゴス・ルネサンスと呼ばれる傑作がある。ビザンツ美術はシチリア島,イタリア,スラヴ世界に普及し大きな影響を残した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報