改訂新版 世界大百科事典 「ビシャー」の意味・わかりやすい解説
ビシャー
Marie-François-Xavier Bichat
生没年:1771-1802
フランスの医学者。ジュラのトアレットで医師の子に生まれ,1791年からリヨンのオテル・ディユ病院で外科と解剖学を習い,3年後パリに行き当時革命派によってユマニテ大病院と改称されていたオテル・ディユ病院で著名な外科医デソーPierre Desault(1738-95)に師事した。96年G.デュピトランらとともに医学振興協会を設立,同時に私塾を開き生理学の動物実験を供覧し,解剖学を講義した。600体にのぼる解剖観察の結果,生体は21種の組織で構成されると考え,病気は組織の病的変化によるとして近代組織学発展の基盤を築いた。1801年に主著《一般解剖学》《生と死の生理学的研究》を相次いで刊行。〈生とは,死に抵抗するもろもろの機能のアンサンブルである〉という言葉は有名。過労のため31歳で死去した。
執筆者:本田 一二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報