精選版 日本国語大辞典 「生気論」の意味・読み・例文・類語
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生命論において機械論と対立する立場で、生命には無機物質を支配している機械論的原理とは別種の原理が働いているとする見解をさす。生気論と似た概念として、物活論、有機体論、全体論がある。それらはいずれも機械論と対立し、生命固有の原理の意義を強調する点で共通しているが、物活論や有機体論は、主として無生物を含めた自然界全体を生命あるものとして把握する立場を表すのに用いられる。原始人の物活論的思考とか、東洋の伝統的な有機体的自然観というのがその例である。それに対して、生気論と全体論は、近代科学の成立以降、無機物質に対する機械論的法則の支配が認められるようになった後で、生物の特異性を強調する場合に主として用いられる。生気論者として有名なのはドリーシュであり、彼はウニの発生実験に基づいて、生命特有の原理としてのエンテレキーの存在を主張した。生気論が生物の身体の構成単位において独自の原理の存在を主張するのに対し、全体論は構成単位の次元では独自の原理を認めないが、それらが生物を構成すると、個々の要素に還元できない特性が生じるとする。しかし、生気論と全体論の違いはかならずしも明確ではない。
[横山輝雄]
『ベルタランフィ著、飯島衛訳『生命』(1954・みすず書房)』
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[生命観とその問題]
生命観あるいは生命論はしばしば目的論的なものと機械論的なものとに大別される。生気論と生命機械論の区別がほぼこれに該当する。生気論(活力論ともいう)はつまるところ生物に非物質的な生命力が存在して無機物とは異なった現象をあらわさせると説くものであり,結局は目的論的原理を認めることになる。…
…科学では古代以来,要素的なものによって説明することを方法としてきており,とくに近代科学は自然現象をできるだけ分割・分析して究極の要素に至り,そこから全体を再構成することをもって科学の方法としてきたので,全体論は,伝統的な科学の方法に反対する立場であるということもできる。しかし,要素に還元することなく全体を把握するには,要素以外の原理を必要とするので,全体論はしばしば生気論と結びついてきた。生気論は,要素や部分に還元されない全体独自のものを説明するために〈生気vita(spiritus)〉なるものを導入するのであるが,これによって科学的に説明することになるかどうかには問題がある。…
…1891年にナポリの臨海実験所で彼がウニの二細胞期の胚を二つに分けたところ,W.ルーやワイスマンが主張するような半分の胚が現れず,小さいながら完全な幼虫が生じた。このため物理・化学に立脚した発生理論に疑問をもち,99年に生気論に立つことを明らかにし,1909年の《有機体の哲学》でその思想を展開した。発生現象を一般化し,全体の大きさに無関係に各構成部分が相対的な位置にみあった分化を行う系を調和等能系と名づけ,これこそ生命独自の現象だとしてこれを起こす作用因をアリストテレスのエンテレケイアにちなんでエンテレヒーEntelechieと呼んだ。…
※「生気論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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