ビルマ型社会主義(読み)ビルマがたしゃかいしゅぎ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビルマ型社会主義」の意味・わかりやすい解説

ビルマ型社会主義
ビルマがたしゃかいしゅぎ

1962年3月クーデターにより政権を握ったビルマ (現ミャンマー) のネ・ウィン内閣が,同年4月発表した同国独自の社会主義計画。同年7月にはその実施機関としてビルマ社会主義計画党が創設された。ビルマの社会主義計画は,最初は外国資本,大企業と流通経済機構の国有化という形で発足し,やがて農業労働の社会主義化に進んだ。ビルマ型社会主義の特徴は,(1) 現在の社会主義計画を絶対的なものとはみず,試行錯誤なかで行われる実験的なものとみていること,(2) 私企業の活動も一部に認める,一種混合体制を目指していること,(3) 共産主義社会民主主義と厳格な一線を画していること,(4) 仏教的平和と寛容,利他の精神を強調していることなどである。

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知恵蔵 「ビルマ型社会主義」の解説

ビルマ型社会主義

1948年の英国からの独立後、ウー・ヌー首相(建国の父アウン・サン将軍の後継者)の下で議会制による社会民主主義的政策を目指す。しかしビルマ共産党の武装蜂起やカレン民族同盟による分離運動に加え、政権与党内の対立等で政治的混乱に陥った。62年、ネ・ウィン将軍率いる国軍のクーデター以後、ビルマ社会主義計画党(BSPP)一党支配下での軍政が88年まで続いた。国軍とBSPPによるこの支配体制がビルマ型社会主義。経済のビルマ化(生産手段の国有化とビルマ人による経営)、仏教(ビルマ文化)の重視などが主な柱。コメを中心とする農産物チーク材を国家が一元的に輸出して生産財を輸入する輸入代替工業化路線だが、外国への窓を閉じた「鎖国」に近い状態の中で実現しようとし、行き詰まった。

(片山裕 神戸大学教授 / 2007年)

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