ファットーリ(その他表記)Giovanni Fattori

改訂新版 世界大百科事典 「ファットーリ」の意味・わかりやすい解説

ファットーリ
Giovanni Fattori
生没年:1825-1908

イタリア画家リボルノに生まれ,美術の初歩を学んだ後,フィレンツェで歴史画家ベッツオーリG.Bezzuoliに師事する。1850年代に,当時前衛思想家,芸術家の集まった〈カフェ・ミケランジェロ〉の常連となり,マッキア派のグループを結成する人々と知り合う。主題は,戦争や軍隊に取ったものが多かったが,思想的ないしは物語的関心よりも,写実的技法に関心をもって描かれた。彼の技法に対する興味は,59年コスタN.Costaとの出会いによってさらに刺激をうけ,戸外における色彩を明るく大胆なコントラストで描き,また形態の立体表現を放棄して平坦な色面で画面を構成するなどした。69年にフィレンツェの美術学校の教授となり,教育者としても活躍した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファットーリ」の意味・わかりやすい解説

ファットーリ
Fattori, Giovanni

[生]1825.9.6. /1825.10.25. レグホーン
[没]1908.8.30. フィレンツェ
イタリアの画家。自然観察にすぐれ,初めはリアリスティックな画風であったが,のちにいわゆるマキアイオリ派の創設に参加。軍隊や農民の生活,海岸の沼沢地風景などを分割描法で描き,さらにのちには比較的平坦な色面で描いた。主要作品『騎兵』 (1859,ミラノ近代美術館) ,『巡察』 (85頃) 。

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世界大百科事典(旧版)内のファットーリの言及

【マッキア派】より

…彼らはまたこの大気の広がりを表すため,極端に横長の画面をも好んだ。 ファットーリは戦争画などにおいて動きのある人物を風景と調和させ,レーガSilvestro Lega(1826‐95)は戸外の婦人像など穏やかな主題を得意とした。シニョリーニTelemaco Signorini(1835‐1901)は風俗的主題を,アッバーティGiuseppe Abbati(1836‐68)はメランコリックな風景画を残した。…

※「ファットーリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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