改訂新版 世界大百科事典 「フィセリング」の意味・わかりやすい解説
フィセリング
Simon Vissering
生没年:1818-88
オランダの経済学者。1863年オランダのライデンで西周と津田真道に,治国学の基本として自然法,国際法,国法,経済学および統計学を教授したことで知られている。その講義は後に翻訳され,西周《万国公法》(1868),神田孝平《性法略》(1871),津田真道《泰西国法論》(1868)および,同《表記提綱》(1874)として公刊され,揺籃期の日本の法学・政治学に影響を及ぼした。フィセリングはアムステルダムに生まれ,同地およびライデンの大学に学ぶ。法律学と文献学の学位を取得した後,一時弁護士ならびにジャーナリストとして活動し,1850年にライデン大学の教授として経済学,統計学,政治史を教え,《国民経済学綱要》(1860-65)などの著書がある。79年大蔵大臣に就任する。その経済思想は古典的自由主義で,自由貿易論に立ち,倫理思想は功利主義によっていた。
執筆者:石部 雅亮
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報