改訂新版 世界大百科事典 「フィブリル」の意味・わかりやすい解説
フィブリル
fibril
繊維を構成している微小な組織単位。フィブリルは繊維軸に対して70度くらいの角度でらせん状に配列し,たとえば扁平な木綿繊維では表裏で網目模様になる管状構造を形成している。セルロース繊維から成るパルプはそのままでは繊維の長さや太さが大きすぎたり硬すぎるので,叩解(こうかい)という主としてフィブリル化を目的とする操作を行う。フィブリル化は木材繊維の第二次膜およびその内部組織を形成している比較的大きなフィブリルがほぐれてきて,さらにその表面に微細なミクロフィブリルが毛羽立ってくる現象である。合成繊維においても,ナイロン繊維のマトリックス(基材)中にポリエチレンテレフタレートのフィブリルをたくさん埋め込んだフィブリル・マトリックス型の複合ナイロンがつくられている。
執筆者:瓜生 敏之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報