改訂新版 世界大百科事典 「フィボナッチ数」の意味・わかりやすい解説
フィボナッチ数 (フィボナッチすう)
Fibonacci sequence
漸化式u0=0,u1=1,……,un=un-1+un-2(n=2,3,4,……)で定まる数列{un}をフィボナッチ数列,各項をフィボナッチ数という。u2=1,u3=2,u4=3,u5=5,u6=8,u7=13,u8=21,u9=34,u10=55である。フィボナッチ,通称ピサのレオナルドは1202年《アバクスの書Liber abaci》を著し,アラビア数字と四則の筆算を取り扱い,ヨーロッパの数学に大きな影響を与えた。この本の中の問題の一つに上述の漸化式に関係するものがあり,それにちなんでフィボナッチ数と名付けられた。フィボナッチ数unは定義によりn≧1のとき正の整数であるが,
と表示することができる。ここに現れる2数は互いに逆数であり,黄金分割の比としても現れる。また,
とも表示できる。ここでなどは二項係数を,を超えない最大の整数を表す。θがを満たせば,である。フィボナッチ数の間には種々の関係式が知られている。例えば,
u1+u2+……+un=un+2-1
u12+u22+……+un2=unun+1
u13+u23+……+un3=1/10(u3n+2+(-1)n⁺16un-1+5)
mとnの最大公約数がdであれば,umとunの最大公約数はudである。また平方数であるようなフィボナッチ数は1と144のみである。フィボナッチ数はヒマワリやマツの実の種子の配列など,自然界にしばしば見られる。
執筆者:上野 健爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報