大学事典 「フィレンツェ大学」の解説
フィレンツェ大学[イタリア]
フィレンツェだいがく
フィレンツェにある国立総合大学。1321年にボローニャ大学の一部が移動して成立し,同年にフィレンツェ共和国が設立を発布したが,恒常的に設立されたのは1348年以降。1349年の教皇教書で学位授与権を獲得したのち,皇帝カール4世が1364年に皇帝立大学(イタリア)と宣言し,1516年にはレオ10世によって付加的特権が授与された。ボッカチオがダンテの『神曲』を講義したこともあったが,大学を維持した共和国の状況によって繁栄と不運の多彩な変遷をたどった。コジモ1世は,トスカナ大公国に併合されて間もないピサに愛着を持ち,ピサ大学(イタリア)の拡大を積極的に推進し,ロレンツォ・デ・メディチの指示によって結果的にピサ大学に吸収された。ただその後も,多数の教師がフィレンツェに留まったとされる。イタリア統一以後に高等教育機関として再生し,1924年に大学に昇格して,11学部を持った。2013年には従来の12学部を10のスクオーラに再編した。教育研究活動のみならず活発な文化活動でも知られ,21図書館と6博物館を持つ。2011年には10スクオーラ,24学科,正教授561人,准教授630人,研究員629人,2015/16年の登録学生数約5万1000人。
著者: 児玉善仁
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報