アメリカの民間銀行が中央銀行である連邦準備銀行に預けている準備金(フェデラル・ファンド)の過不足を銀行間でやりとりする際の金利。英語の頭文字をとりFF金利とよばれることもある。アメリカの民間銀行は、預金残高に応じた一定割合を法定準備金として連邦準備銀行に預けることが法律で定められている。ただ資金不足から法定準備金が足りない銀行は、より多くの法定準備金を預け入れている他銀行から一時的に余剰金を借り入れ、準備金とすることができる。この際の銀行間の貸し借りの金利がフェデラル・ファンド金利である。
フェデラル・ファンド金利はアメリカの代表的な短期金利であるとともに、短期金融市場を操作する目的で調整する政策金利でもある。アメリカの12の地区連邦銀行を統括するFRB(連邦準備制度理事会)はFOMC(連邦公開市場委員会)でフェデラル・ファンド金利の誘導目標を決定し、短期市場の金利をコントロールしている。通常、景気がよく資金需要がある場合やインフレが進行している場合に、FRB(実務はニューヨーク地区連邦準備銀行が担当)は国債などを市場に売却して市中の資金を吸収し、フェデラル・ファンド金利を引き上げるように誘導する。この金融引締めにより、景気の過熱やインフレを抑える政策をとる。逆に、景気が悪く資金需要が低迷したり、デフレが進行したりしている場合には、国債などを市場から買い入れて市中に資金を供給し、フェデラル・ファンド金利を引き下げる金融緩和策で、景気を刺激する。
フェデラル・ファンド金利は1990年代初頭には8.0%だったが、2007年のサブプライムローン危機以降、順次低下し、2008年には誘導目標年0~0.25%となった(ゼロ金利政策)。その後、新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)が流行した2020年にもゼロ金利政策を実施したが、新型コロナウイルス感染症流行に伴う混乱の収束と物価高騰に対応するため、FRBは2022年に利上げに踏み切り、フェデラル・ファンド金利は上昇傾向にある。
[矢野 武 2022年8月18日]
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