イタリアの自動車メーカーの会社名。または同社のモータースポーツ部門であるF1(FIA Formula One World Championship)コンストラクターの、スクーデリア・フェラーリ・マールボロのチーム名の略称。なお、スクーデリア(Scuderia)とは、イタリア語で「馬小屋・厩舎(きゅうしゃ)」の意味で、そこから転じて、F1などの「チーム」の意として使われている。
自動車メーカーのフェラーリ社は、「跳ね馬」の紋章をシンボルとし、市販量産車を製造するイタリアの企業。同国のランボルギーニ社と同じく、走行性能・価格ともにずば抜けた、いわゆるスーパーカーと呼ばれるスポーツタイプの自動車のみを生産する。アルファ・ロメオ社のレース部門のドライバーだったエンツォ・フェラーリ(1898~1988年)がレーシングチーム運営のために創立した会社スクーデリア・フェラーリをその母体とする。第2次世界大戦後、レーシングカーの自社開発を手がけ、その資金作りのためにレーシングカーの旧モデルを改装し販売したのが自動車メーカーとしての出発点である。経営難から後にイタリア最大の自動車メーカー、フィアットの傘下に入り、従来と比べれば比較的安価な自動車もラインアップに加わった。これ以降、エンツォ自身は市販車部門からは身を引き、スクーデリア・フェラーリのみに専念した。2008年は販売台数6千587台(うち、日本は433台)、売上高19億2千100万ユーロ(約2千210億円)と過去最高、ROS(売上高利益率)も17.6%に達した。同年には、日本法人「フェラーリ・ジャパン」が設立されている。
スクーデリア・フェラーリは、自動車メーカーのフェラーリ社の出発点でもあり、現在もその一翼を担う。F1カーのシャシーとエンジンを製造するフル・コンストラクターの一つ。レーシングチームとしては、前述の通り自動車メーカーのフェラーリ社よりも歴史は古く、F1創設時から参戦し幾度も優勝するなど、自動車レースでの華やかな戦績を誇り、長年にわたり世界のモータースポーツ界に君臨してきた。現在はメーンスポンサーである米国のたばこの名を冠し、正式名称をスクーデリア・フェラーリ・マールボロという。
F1を主催する国際自動車連盟(FIA)は、F1マシン開発のコストを抑制するため、任意の予算制限であるバジェットキャップ制を2010年より導入するとした。制度に定める車両開発費などの上限を受け入れたチームについては、エンジン回転数などの規定が大幅に緩和される。フェラーリやトヨタ、レッドブルなど、巨額の費用を計上してきた大手チームは、レース条件を二重構造化するこのような制度は受け入れることができないとして、制度が導入されるならF1レースから撤退すると表明した。このため11年導入に向けて協議・調整が進められている。