ふくろう星雲(読み)ふくろうせいうん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ふくろう星雲」の意味・わかりやすい解説

ふくろう星雲
ふくろうせいうん

おおぐま座にある惑星状星雲。北斗七星の柄杓(ひしゃく)の底のβ(ベータ)星の近くにある。星雲は全体が丸く、その中に少し暗い目のような部分があり、いかにもフクロウの顔のようにみえるので、イギリスの天文学者パーソンズにより、ふくろう星雲と命名された。惑星状星雲としては大きいほうであるが、かなり淡いので少し大きめの望遠鏡で見る必要がある。カタログ番号はM97またはNGC3587。距離は約1800光年。実視等級は10等、視直径は3分程度。近くに系外銀河のM108もある。4月中旬の午後7時ごろに北東の空に、午後9時ごろに天頂付近に見える。

[編集部 2022年12月12日]


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改訂新版 世界大百科事典 「ふくろう星雲」の意味・わかりやすい解説

ふくろう星雲 (ふくろうせいうん)
Owl Nebula

M97,NGC3587。おおぐま座にある惑星状星雲。距離は1800光年であるが3′.4×3′.3に広がっており,惑星状星雲としては大きい。全体の明るさは12等級しかないので見つけにくい天体であるが,北斗七星のひしゃくの底にあたるβ星とγ星を結んだ線上にある。暗いのでなかなか写真に撮れないが,口径20cmくらいの望遠鏡を使うとフクロウの顔のような星雲を写せる。太陽質量の1.2倍くらいの星が進化し,その一生の最後に近づくと大気が膨張して不安定になり,その星の質量の半分くらいが放出される。放出された直後のガス密度は高いので,明るくて小さな惑星状星雲であるが,毎秒10kmあまりの速度で数万年間膨張すると,密度が低くなって暗くて大きい惑星状星雲となる。ふくろう星雲は惑星状星雲としては末期的なもので,中心に残った星は徐々に暗くなっていく。
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百科事典マイペディア 「ふくろう星雲」の意味・わかりやすい解説

ふくろう星雲【ふくろうせいうん】

おおぐま座にある惑星状星雲(M97またはNGC3587)。フクロウの形に似ており,距離1800光年。
→関連項目惑星状星雲

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世界大百科事典(旧版)内のふくろう星雲の言及

【星雲】より

…そのガスは太陽質量の20%くらい,半径は0.1~2.0光年(6000~1万天文単位)で輝いている。太陽からの距離2000~3000光年以内の明るい惑星状星雲には,こぎつね座の亜鈴状星雲,みずがめ座の土星状星雲,こと座の環状星雲,おおぐま座のふくろう星雲などと,表面の模様によって固有名がついている。銀河系内に1000個余りが知られていて,いて座の銀河中心方向に数多く密集している。…

※「ふくろう星雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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