改訂新版 世界大百科事典 「フクロユキノシタ」の意味・わかりやすい解説
フクロユキノシタ
Australian pitcher plant
Cephalotus follicularis LaBill.
頭状の捕虫袋を地表面に横たえ,落し穴式に小動物を捕らえる,フクロユキノシタ科1属1種の多年生食虫植物。西オーストラリア州の特産種。
茎は地上には伸びず,地下で分枝発達し,長さ3~30cm,直径3~4mm。葉はロゼツト状に展開し,葉身は披針形または円形,長さ1~4cm,幅0.5~2.5cm,長い軟毛をもつ。葉柄は長さ0.5~2.5cm。捕虫袋は高さ3~4cm,緑色または赤色,外側に多数の軟毛をもつ3本の発達したひれ状の翼がある。口部の縁飾は管状,表面は蛇腹状で,緑または紫色。ふたは円形で,縁は内側に反り,白色模様のある緑色または赤色をしている。捕虫袋内部に分布する腺細胞から分泌される消化酵素プロテアーゼの働きで,獲物を消化吸収する。11~1月に30~50cmの花茎を出し,頂部に7~12個の1~数花からなる花の集りを穂状につける。花は白色で,ユキノシタ科植物に似るところから,フクロユキノシタの和名がある。
執筆者:近藤 勝彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報