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食虫植物 しょくちゅうしょくぶつinsectivorous plant

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

食虫植物
しょくちゅうしょくぶつ
insectivorous plant

特別の器官によって小動物を捕え,消化してみずからの栄養源としている植物。捕虫器官には次のものがある。 (1) ヘイシソウウツボカズラのように葉が嚢状に変化し,その中に陥落した虫を捕えるもの。 (2) モウセンゴケイシモチソウのように葉に粘毛を生じ虫が止ると捕えるもの。 (3) ムシトリスミレのように葉面に粘着部のあるもの。 (4) タヌキモのように入口に毛を有し,わなとして働くような袋を生じて捕えるもの。 (5) ムジナモハエトリソウのように葉が関節をもって2つに折れその間に虫を取込んで捕えるもの。食虫植物の生育する環境は水中,沼沢,粘質土壌などで根の発達が悪いため,このような栄養のとり方により窒素,リン酸,カリなどを補給している。

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デジタル大辞泉の解説

しょくちゅう‐しょくぶつ【食虫植物】

昆虫などの小動物を捕らえて消化吸収する植物。葉が変形した捕虫葉をもつ。葉に粘液を出す腺毛(せんもう)があるモウセンゴケムシトリスミレ、葉の一部が袋状になり、底に落ちた虫を消化液で消化するウツボカズラ、虫が触れると葉を閉じるハエジゴクなど。食肉植物

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百科事典マイペディアの解説

食虫植物【しょくちゅうしょくぶつ】

昆虫などの小動物を捕らえてこれを消化し,養分の一部にする植物。一般に湿度が高く,強酸性のやせた土壌で,しかも日当りのいい場所に生育する。モウセンゴケ科タヌキモ科,ウツボカズラ科,サラセニア科などに属し,捕虫葉が発達して虫を捕らえる。
→関連項目ウツボカズラハエジゴクムシトリスミレモウセンゴケ

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世界大百科事典 第2版の解説

しょくちゅうしょくぶつ【食虫植物 insectivorous plant】

小動物を捕らえ,消化し,養分の一部として吸収する高等植物の一群。肉食植物carnivorous plantともいう。すべて独立栄養者として,葉や茎にクロロフィルをもち光合成を行う一方,従属栄養的な性質ももち,獲物の小動物から窒素やリン等を摂取する。世界で,モウセンゴケ科(モウセンゴケ属約90種,モウセンゴケモドキ属1種,ハエトリグサ属1種,ムジナモ属1種),サラセニア科(サラセニア属8種,ランチュウソウ属1種,キツネノメシガイソウ属約10種),ウツボカズラ科(ウツボカズラ属約70種),フクロユキノシタ科(フクロユキノシタ属1種),ビブリス科(ビブリス属2種),ディオンコフィル科(トリフィオフィルム属1種),タヌキモ科(ムシトリスミレ属47種,タヌキモ属約150種,ゲンリセア属約15種,ビオブラリア属1種,ポリポンポリックス属2種)が知られる。

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大辞林 第三版の解説

しょくちゅうしょくぶつ【食虫植物】

昆虫などの小動物を捕らえて消化し、養分の一部とする植物。特別な捕虫葉や腺毛・蜜腺が発達している。モウセンゴケ科・タヌキモ科・ウツボカズラ科の植物など。食肉植物。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

食虫植物
しょくちゅうしょくぶつ

昆虫や小動物をとらえ、消化、吸収して栄養をとる植物の一群。日本では2科4属、約20種が知られる。食虫植物は普通の植物と同じように光合成、窒素同化を行って独立栄養の生活をするが、尾瀬ヶ原(おぜがはら)湿原のような窒素分を欠いた酸性の土壌条件のもとでも多くの種は生活が可能である。食虫植物の捕虫の仕方には、とりもち式(モウセンゴケ、イシモチソウなど)、わな式(タヌキモ、ミミカキグサなど)、落し穴式(ウツボカズラなど。日本産の種類はない)などがある。とりもち式とは、葉の表面や縁に粘液を分泌する腺毛(せんもう)によって昆虫などを捕食するもので、モウセンゴケでは、葉縁にある長い触毛に実験的に卵白片をつけると、すぐに屈曲運動がおこり獲物を取り囲む。また、葉の中央部には獲物を運ぶ働きもみられる。触毛の先端の粘液は酸性となり、獲物は溶かされ、葉面から吸収される。わな式とは、捕虫嚢(のう)や開閉する捕虫葉をもつもので、水生の食虫植物であるタヌキモでは捕虫嚢があり、その中の水を排水し、低圧状態となって虫を待つ。虫が接触すると穴が開いて獲物を吸い込む。また、ハエジゴクなどでは、葉の表面に数本の毛が生えており、虫が触れるとすぐに葉を閉じて、これをとらえる。落し穴式とは、筒型とか袋状の器官に蜜腺(みつせん)をもち、これで虫を誘い、落ち込んだところをとらえるもので、ウツボカズラのほか、サラセニアなどがある。
 生態的にみると、ノハナショウブやサギソウなどの美しい花を咲かせる暖温帯の湿原は食虫植物のよい生育地である。このような所では、比較的地下水位の高い湿った場所にモウセンゴケやナガバノイシモチソウなど、比較的地下水位の低い乾いた場所にコモウセンゴケやイシモチソウなどといったすみ分けがみられる。また、暖温帯の食虫植物を産する湿原には、遷移の進行によってススキなどの中生植物が侵入し、やがてマツ林などの陽樹林に移り変わり、食虫植物はそのすみかを追われてしまう。このようなすみかを維持していくためには、湿原の水位の調節、アシなどの刈り取り、芝やススキのはぎ取りのほか、ときには芝焼きなどの管理がたいせつとなる。また、尾瀬ヶ原湿原などでは、ハイカーの踏みつけなどによる破壊もおこりうるので、食虫植物の生活を守るための細かい配慮も必要となっている。[小滝一夫]
『小宮定志・清水清著『食虫植物――栽培と観察実験』(1978・ニュー・サイエンス社) ▽鈴木吉五郎著『食虫植物』(1957・加島書店)』

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