日本大百科全書(ニッポニカ) 「フレーニ」の意味・わかりやすい解説
フレーニ
ふれーに
Mirella Freni
(1935―2020)
イタリアのソプラノ歌手。モデナ生まれ。幼少時からオペラに親しみ、ボローニャで名教師カンポガリアーニEttore Campogallianiに師事。1955年、生地の市立オペラ劇場で『カルメン』のミカエラを歌ってデビュー。1950年代末にはヨーロッパ各地の歌劇場、音楽祭から招かれるようになり、モーツァルト、プッチーニ、ベルディを中心に幅広いレパートリーをこなしている。なかでも1963年ミラノ・スカラ座でカラヤン指揮、ゼッフィレッリ演出で上演された『ボエーム』のミミ役で成功を収め、それ以来彼女のミミには最高級の賛辞が与えられた。ブルガリアのバス歌手ギャウロフと結婚。彼女の声は叙情性と豊かさ、柔軟さを兼ね備え、安定した技巧、ヒロインにふさわしい細やかさ、優しさを表現する演技力ともども、今日を代表するソプラノであった。1979年(昭和54)カラヤンの指揮するベルリン・フィル来日公演に同行して初来日した。
[美山良夫]
『ピエール・マリア・パオレッティ著、南条年章訳『スカラ座の人』(1988・音楽之友社)』▽『本間公著『この声が魅了する――続・思いっきりオペラ』(1994・宝島社)』▽『『新潮オペラCDブック6 プッチーニ「ラ・ボエーム」』(1995・新潮社)』▽『木之下晃著『音楽家のオフステージ』(1996・東京書籍)』