ギャウロフ(読み)ぎゃうろふ(その他表記)Nicolai Ghiaurov

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギャウロフ」の意味・わかりやすい解説

ギャウロフ
ぎゃうろふ
Nicolai Ghiaurov
(1929―2004)

ブルガリアバス歌手。当初はさまざまな管楽器を学んだが、従軍中に声楽を志すようになった。ソフィアとモスクワの音楽院に学んだのち、1955年パリ国際声楽コンクールで1位。同年ソフィア国立歌劇場でデビュー、以後、57年にボリショイ劇場(モスクワ)、60年にはコベント・ガーデン王立歌劇場(ロンドン)など、数年のうちに世界の主要歌劇場に登場。グノーの『ファウスト』のメフィストフェレスのほか、『ボリス・ゴドゥノフ』、ロッシーニセビーリャの理髪師』のドン・バジーリオなどを得意とした。またベルディの『レクイエム』などの独唱者、ムソルグスキーチャイコフスキーなどのロシア歌曲の解釈者としても定評がある。イタリアのソプラノ歌手ミレッラ・フレーニと結婚。73年(昭和48)にイタリア歌劇団の一員として初来日した。カラヤンなどの指揮で、多数のオペラ、ロシア歌曲の録音を残している。

[美山良夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギャウロフ」の意味・わかりやすい解説

ギャウロフ
Ghiaurov, Nicolai

[生]1929.9.13. ブルガリア,ベリングラード
[没]2004.6.2. イタリア,モデナ
バス歌手。20世紀オペラ界屈指の歌手として知られた。ソフィア音楽院,レニングラード音楽院,モスクワ音楽院に学び,1955年ソフィア国立歌劇場にデビューした。深み風格のある美声,知的な役柄分析と巧みな演技力,舞台映えする容姿など,オペラの主役としての魅力をすべて備えた大歌手であった。『ドン・カルロ』(ジュゼッペ・F.F.ベルディ)のフィリッポ2世役をはじめ,『ボリス・ゴドゥノフ』(モデスト・P.ムソルグスキー),『メフィストーフェレ』(アッリゴ・ボーイト),『ドン・ジョバンニ』(ウォルフガング・A.モーツァルト)などの各タイトルロールに示した陰影の濃い迫力はあたり役と呼ばれるにふさわしく,その一方コミカルな役柄にもうまみとすごみを発揮した。70歳をこえてもなお現役として活躍を続けた。

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