翻訳|floppy disk
磁気記録媒体を薄いプラスチックのディスク(円盤)に付着したもので、はためくような(floppy)しなやかさからフロッピーディスク(FD)とよばれるようになった。また、ディスケットdiskette(アメリカのIBM社の呼称)、フレキシブルディスクflexible disk(日本工業規格〔JIS〕用語)ともよぶ。なお、これらを用いた磁気ディスク装置はフロッピーディスクドライブ(FDD)ともよばれている。
フロッピーディスクは、1970年に大型コンピュータ用にIBM社が開発した8インチ(1インチは25.4ミリメートル)、128キロバイト(後~1メガ〔百万〕バイト)の紙保護ケース入りのものが最初である。当時、フロッピー1枚で、パンチカードシステム(PCS)に利用された千円札大の紙カード1900枚分の記録容量があり、処理速度もPCSの200倍と注目された。1976年にはパソコンなど小型コンピュータ用に一般には5インチとよんでいた5.25インチ、80キロバイト(後~1.2メガバイト)のものがつくられた。その後主流となったプラスチックカセット入りの3.5インチ型(88.9ミリメートル径)は、日本のソニー社が1980年(昭和55)に開発したものの改良型である。
3.5インチ型はマグネチックチャックと駆動用と位置決め用の穴をもつ金属製ハブをカセットの中心につけて駆動装置との結合性を改善し、磁気ヘッド用の窓には埃(ほこり)よけに金属またはプラスチック製のシャッターを設けて耐久性を増している。このため、従来の駆動用の単なる穴によるものよりもトラック数を3倍にでき、片面単密度(1S)、両面倍密度(2D:320~360キロバイト)、両面倍密度倍トラック(2DD:640~720キロバイト)、両面高密度(2HD:1~1.2/1.44メガバイト)のものがつくられ普及した。20世紀末には2HDディスクにスーパーディスクドライブで32メガバイトまで記録させる技術や、100メガバイト以上の大容量フロッピーディスクも種々開発されたが、あまり普及していない。
情報は、磁気テープと同じような構造のディスク上に、同心円状のトラックを扇形にくぎったセクターとよぶ単位で記録する。セクターはパソコンでは512バイト幅が多い。ディスクの交換は差し替えですむが、セクターへのアクセスには磁気ヘッドとセクターおよびトラックとの位置関係をあわせることがそのつど必要となる。このためのディスクの基準点として、物理的な小穴のインデックスホールにかわり、3.5インチ型では位置決めによりスピンドルモーターで得られる角度情報と光学的に検出した最外周「00トラック」の位置情報を利用する。こうして検出された基準点と、基準点と相対位置情報をもつ所望のセクターをソフトウェアにより指定する方法が、フォーマットの自由度が高いとして一般的に使用された。
フロッピーディスクは、記録容量とアクセス速度の限界からハードディスク(HD)やCD-ROMに押されて、20世紀末には大型のものから相次いで生産が中止された。2000年代後半になると大手各社が生産を中止、1980年に3.5インチ型でブームをおこしたソニー社も2011年(平成23)3月末に国内販売を終了した。
[岩田倫典 2015年4月17日]
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…磁気記憶装置で使われる記憶媒体として,1950年代には磁気ドラムが使われたこともあるが,その後長期にわたって磁気ディスクや磁気テープが主流だった。磁気ディスクとしては,後述するハードディスク(固定ディスク)やフロッピーディスクなどがある。磁気テープとしては,記憶装置専用のカセットテープのほかにオーディオ・ビデオ用とほぼ同じ媒体も使われている。…
※「フロッピーディスク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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