改訂新版 世界大百科事典 の解説
ブリティッシュ・ペトロリアム[会社]
British Petroleum Co., P.L.C.(Public Limited Company)
石油メジャーの一つで,売上高ではイギリス最大。略称BP。本社ロンドン。1900もの関連会社を有し,70ヵ国以上で事業活動を行う。石油に関係するすべての分野で事業活動を行うと同時に,天然ガス,石炭といった他のエネルギー分野にも事業を拡大し,総合エネルギー企業となっている。それに加え化学,食品,情報技術等の産業を抱えるコングロマリットでもある。
BPの前身は,1901年イラン政府がW.K.ダーシーに与えた石油利権を開発するために09年設立されたアングロ・ペルシアン石油会社Anglo-Persian Oil Co.,Ltd.である。その後35年にアングロ・イラニアン石油会社Anglo-Iranian Oil Co.,Ltd.に改称,54年にBritish Petroleum Co.,Ltd.となり,80年に現社名となる。BPの歴史をみると大きく三つの期間に分けられる。1909-34年の第1期には,もっぱらイランで原油を生産し,ヨーロッパ,アフリカ,オーストラリアを市場としていた。第2期は60年代末までで,石油開発をイランのみならず,イラク,クウェート,カタル,ナイジェリア,リビアなどの中東,アフリカにまで拡大し,大規模油田を保有した。60年代末以降の第3期は,他のメジャーと同様,2度の石油危機を含む情勢の激変により,BPも大きな影響を受けた。71年にリビアにおける生産設備が国有化によって失われ,73年には第1次石油危機が発生した。そして79年のイラン革命とそれに続く第2次石油危機では,BPがイラニアン・コンソーシアム(1954年にメジャーなどによりつくられた)における利権の40%を保有していたため,他のメジャーに比べ大きな打撃を受けた。しかし最近では事業の主体を北海,アラスカのプルドー湾に移し,北海のフォーティーズ油田(1975生産開始),マグヌス油田(1983),アラスカのクパルク油田(1983)がBPの主要油田になっている。98年アメリカの石油大手アモコ社Amocoと合併し,BPアモコと改称したが,2001年再び社名を現社名に戻した。売上高2851億ドル(2004年12月期)。
執筆者:木船 久雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報