ブレーメル(その他表記)Bremer, Fredrika

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブレーメル」の意味・わかりやすい解説

ブレーメル
Bremer, Fredrika

[生]1801.8.17. オーボ
[没]1865.12.31. ストックホルム,オールスタ
スウェーデン女流作家。婦人解放運動の指導者。フィンランドの富裕な商人の娘に生れ,3歳のとき一家でスウェーデンに移住した。 1828年社会運動の基金づくりのため出版した短編集『日常生活点描』 Teckninger utur hvardagslivetが好評を博し,作家を志し,ベンサム,ミルの影響を受けた。 49年から2年間アメリカ各地を旅行。婦人問題とともに児童教育の機会均等化にも関心が深かった。代表作,小説『隣人たち』 Grannarna (1837) ,『家庭』 Hemmet (39) ,『兄弟姉妹』 Syskonlif (49) ,旅行記『新世界における家庭』 Hemmen i den nya världen (53~54) など。また 51~61年には,スイス,イタリア,近東を視察旅行,『旧世界の生活』 Lifvet i gamla världen (6巻,60~62) にまとめた。死後,全国の女教師が中心になり,「ブレーメル協会」が設立された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブレーメル」の意味・わかりやすい解説

ブレーメル
ぶれーめる
Fredrika Bremer
(1801―1865)

スウェーデン(フィンランド生まれ)の女性作家。1828年の処女作ののち、一家の所有地の農民たちを素材に書き続けた物語集『日常生活スケッチ集』で知られる。旅行記作家としても優れ、イギリスヨーロッパ、近東諸国の紀行ほか、ことに妹あて書簡体の『新世界の家庭』3巻(1853~54)は、アメリカ人の生活に直接入って、その日常生活を内部から描いたもので、高く評価される。社会問題への関心が強く、女性運動の先駆者でもある。

[田中三千夫]

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