知恵蔵 「ブログ市長」の解説
ブログ市長
竹原市長は阿久根市出身。防衛大学校卒業後、航空自衛隊を経て、家業の建設会社に勤務。その後市議1期を経て、2008年の市長選挙に当選した。選挙期間中にブログを更新し、公職選挙法違反の疑いで書類送検された。1期目の09年1月12日付ブログ記事で、辞めて欲しい市議の名前を募ったことなどから、市議会は市長不信任案を全会一致で決議し、これに市長は議会解散で対抗した。3月の出直し市議選で3分の2超の議席を得た反市長派は4月27日、再度不信任を突きつけ、竹原市長は失職に追い込まれた。しかし、5月31日の出直し市長選で再選された。
この不信任から再選までの一連の動きの間にも、騒動があった。09年2月20日に、06年から08年度の退職者の退職手当一覧と、07年度の幹部を含む市職員268人分(消防部門は除く)の給与手当の一覧をブログで公開し、人件費の削減を主張した。
再選されてからはさらにブログでの活動を活発化させる。同年8月19日付記事には同月30日の衆議院議員選挙における支持政党と支持候補を表明。11月8日付記事には障害者の出生を否定する記述があり、同月20日には障害者団体が抗議に訪れ面会したものの、謝罪を拒否。なお、当該問題箇所は現在削除されている。
さらに、ブログ以外でも騒動を起こしている。市長は07年度の人件費総額を部署ごとに貼り出させていたが、それをはがした男性係長を懲戒免職処分にした。男性は処分取り消しを求め訴訟を起こし、鹿児島地裁は09年10月、判決確定まで処分の効力を停止する決定をした。この間の給与は未払いの状態となっており、男性は未払い分約220万円を支払うよう市に求めた訴訟も起こし、同地裁は10年3月3日、10年2月までの未払い給与支払いを市に命じる判決を出した。
(小林拓矢 フリーライター / 2010年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報