プラズマ発光法(読み)プラズマはっこうほう

改訂新版 世界大百科事典 「プラズマ発光法」の意味・わかりやすい解説

プラズマ発光法 (プラズマはっこうほう)

アルゴンヘリウムといった希ガス元素を気体状態でプラズマ放電させて4000~1万Kの高温媒体を生成し,そのプラズマ中に試料溶液を導入して,原子,イオン,分子の発光強度から試料中の目的元素の定量または定性を行う分析法。アルゴンやヘリウムのプラズマを希ガスプラズマとも呼ぶが,このようなプラズマは直流プラズマ,高周波プラズマ,マイクロ波プラズマとも分類されるように,プラズマの生成・維持には直流電流,高周波(27~50MHz),マイクロ波(2450MHz)が用いられる。このような発光分析で用いられる分析用プラズマは,前述の温度に加え,電子密度が1014~1016個/cm3の中電離プラズマである。分析用プラズマはエネルギーを与える方式によってさらに分類されることがあるが,そのなかでアルゴンガスを用いる直流プラズマ(DCP)と高周波誘導結合プラズマ(ICP)が発光分析用励起源として実用化され,装置も市販されている。ヘリウムガスを用いるマイクロ波誘導プラズマ(MIP)は現在,研究用プラズマの段階である。希ガスプラズマの特徴はきわめて高い励起能力を有することで,周期律表中のすべての元素の発光分析が通常の紫外・可視領域でできる。そのほか高感度,高精度,広い定量濃度範囲,多元素同時検出が可能といった特徴もあるので,プラズマ発光法は原子吸光法と並ぶ溶液試料の新しい微量分析法として急速に発展,普及しつつある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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