改訂新版 世界大百科事典 「プリマティッチョ」の意味・わかりやすい解説
プリマティッチョ
Francesco Primaticcio
生没年:1504-70
フランスのフォンテンブロー派の中心として制作したイタリア・マニエリスムの画家,建築家,装飾家。ボローニャ生れ。ジュリオ・ロマーノに師事し,マントバのパラッツォ・デル・テなどの装飾に従事。フォンテンブロー宮殿造営のためフランソア1世がロマーノを招請した際,師に代わってフランスに赴く。同じくイタリアから招かれたロッソ・フィオレンティーノの没後は,宮殿建築監督の地位を占め,フランソア1世,アンリ4世,シャルル9世に仕え,宮殿の装飾を行う。彼の引き伸ばされた人体表現を特徴とする作風は,同時代のフランスに影響をあたえた。〈王の間〉(1533-35),〈王妃の間〉(1534-37)などに手がけた壁画,装飾のほとんどが破損もしくは失われ,それらはルーブル美術館の素描やコピーでしか知られていない。しかし,彼の優雅でやや奇異な美学は,それらの素描や若干の油彩(《オデュッセウスとペネロペ》など)によってしのぶことができる。
執筆者:中山 公男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報