日本大百科全書(ニッポニカ) 「プレー火山」の意味・わかりやすい解説
プレー火山
ぷれーかざん
Montagne Pelée
西インド諸島、小アンティル諸島のフランス領マルティニーク島北端にある活火山。標高1397メートル。安山岩の成層火山で、山頂火口をほぼ充満して二つの交差した溶岩円頂丘が存在する。1851年を皮切りに、1932年までに数回の激烈な噴火があり惨害を出した。溶岩円頂丘、溶岩塔の形成や、大爆発、火砕流(熱雲)をおこしやすい。とくに1902年5月8日、大爆発とともに熱雲が山頂から秒速50メートル以上もの高速で西・南麓(ろく)へ流下し、約8キロメートル先の港町サン・ピエールの市民約2万8000人を2、3分でほぼ全滅させ、20世紀における世界最大の噴火災害を生じ、欧米に現代流の火山観測を勃興(ぼっこう)させる契機を与えた。1936年パリ大学付属火山観測所ができ、1978年には地震計の観測網も整備された。
[諏訪 彰]