成層火山(読み)セイソウカザン(英語表記)stratovolcano

翻訳|stratovolcano

デジタル大辞泉 「成層火山」の意味・読み・例文・類語

せいそう‐かざん〔‐クワザン〕【成層火山】

中心火口から噴出した溶岩流火山砕屑物さいせつぶつ交互に積み重なってできた円錐形火山。火口は山体に比べて小さい。富士山など。錐状すいじょう火山。コニーデ

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精選版 日本国語大辞典 「成層火山」の意味・読み・例文・類語

せいそう‐かざん‥クヮザン【成層火山】

  1. 〘 名詞 〙 溶岩や火山砕屑(さいせつ)物が交互に堆積してできた火山。最もふつうに見られる円錐状の火山で、その大部分は広大なすそ野をもつコニーデ(円錐火山)である。富士山・八ケ岳赤城山など。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「成層火山」の意味・わかりやすい解説

成層火山
せいそうかざん
stratovolcano

溶岩火山砕屑物(火砕物),あるいは岩片が交互に堆積して生じた火山。最も一般的な火山の形態で,多くは急峻な円錐形をなす。山頂付近が最大35°と最も急で,山頂から遠ざかるほど斜面はゆるやかになり,山体に比して火口は小さい。玄武岩から流紋岩までさまざまな火山岩で構成されているが,一般に安山岩が多い。成層火山は数百万年の寿命の間に何千回も噴火する。比較的粘性の大きい厚い溶岩が固化して火道などをふさぐため,火山内部の圧力が強まり,激しい爆発を伴って火山灰など火砕物の大量噴出を引き起こすことを繰り返す。灰と溶岩の交互の層(地層)は毛布のように地表に敷きつめられた状態ではなく,耳たぶ状,舌状の形をなして複雑に重なっている。火山のなかで最も数が多く,特にフィリピンのルソン島にあるマヨン山ニカラグアマナグア湖北西にそびえるモモトンボ山,ナトロン湖南方にあるタンザニアのレンガイ山(オル・ドイニョ・レンガイ)などは,火砕流と溶岩流によってできた急峻な円錐形をなす。日本では富士山羊蹄山岩木山開聞岳などがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「成層火山」の意味・わかりやすい解説

成層火山 (せいそうかざん)
stratovolcano

多輪廻の中心噴火による多数枚の降下火砕堆積物,火砕流堆積物,溶岩流などが,山頂火口を中心にして四方に低下する成層構造をもって積み重なって生じた擬円錐形の複成火山。比高1000m以下,基底直径2~40km,山頂火口の直径1km以下のものが多い。全体の形態は同心円的等高線で示され,山麓にいたるほど緩傾斜となり,火山側線は懸垂曲線で近似される。しかし,大型の成層火山(たとえば富士山)の火山側線は傾斜急変部を境にして2~4個の切片に区分され,それぞれの内部構造も異なる。すなわち,傾斜(tanθ)0.9~0.4の主山体は爆発破片堆積物,低発泡度の火砕流堆積物,降下火砕堆積物,溶岩流,崖錐堆積物などで構成されるが,傾斜0.3~0.1の山麓部(いわゆる裾野)は爆発破片堆積物の少ない各種の火山噴出物と主山体の解体に由来する2次的な扇状地土石流,火山泥流堆積物などで構成される。しばしば裾野が主山体より広面積を占める。裾野の外側に高発泡度の火砕流堆積物,火山泥流堆積物,玄武岩質溶岩流などの緩傾斜(0.1~0.0)の堆積面が存在することもある。大型の成層火山は,(1)薄い溶岩流と火山砕屑物,(2)厚い溶岩流,(3)小型火砕流,(4)山頂の小カルデラ形成,(5)溶岩円頂丘中央火口丘),という噴出・形成順序で成長した複式火山であることが多い。成層火山の数は陸上火山の7割に達するが,大洋地域や安定大陸では少ない。
火山
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「成層火山」の意味・わかりやすい解説

成層火山
せいそうかざん

ある火口を中心に、放出された火山砕屑物(さいせつぶつ)(爆発による火山岩塊火山礫(れき)、火山灰など)と流出した溶岩が幾重にも積み重なって形成された火山。安山岩や玄武岩からなる火山に多く、日本の火山の大半を占める。山体の傾斜は、麓(ふもと)では緩やかであるが、中腹では20~25度、頂部では30度、ときには40度に達することがある。単純な円錐(えんすい)形を呈することが多いので円錐火山ともよばれる。火山砕屑物だけからなる噴石丘にも円錐形のものもあるが、成層円錐火山に比べると、概して小規模である。

[諏訪 彰・中田節也]

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百科事典マイペディア 「成層火山」の意味・わかりやすい解説

成層火山【せいそうかざん】

最も多く見られる形式の火山体。溶岩の流出と火山礫(れき),火山灰,軽石などの放出が同時または交互に行われ,山腹にはかたい溶岩層ともろい灰砂層とが互い違いに積み重なっている火山体。頂上に小型の火口をもつ円錐形の火山をコニーデ(円錐火山)というが,成層火山の大部分はコニーデであり,溶岩流や火山砂,火山灰が広大なすそ野を作ることが多い。たとえば富士山。
→関連項目岩手山火山羅臼岳

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岩石学辞典 「成層火山」の解説

成層火山

円錐形に近い大型火山体で,中心火口からでた熔岩の流出と火山砕屑物の放出とが繰り返し交互に累積して形成されている火山.単に成層しているだけの火山体には用いない[Seebach : 1866].コニーデ(konide)[Schneider : 1911].

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世界大百科事典(旧版)内の成層火山の言及

【火山】より

…これを中心噴火という。日本で多く見られる円錐状の火山は,中心噴火を何回も起こし,溶岩流出と爆発による砕屑物の放出が繰り返されるなどしてできたもので,成層火山stratovolcanoと呼ばれる。山腹の傾斜は山頂部にいくほど大きく,40度に達することもあり,山頂には火口がある。…

【火山】より

…複成火山は,休止期をはさんで数万年ないし数千万年をかけて,数百回ときには数千回の噴火を行ってできる火山で,一般に大型である。成層火山は体積10~102km3のものが多く,最大はキリマンジャロ,エトナなどの103km3である。ハワイ型楯状火山は海底部分まで含めると104km3程度である。…

※「成層火山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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