小アンティル諸島(読み)しょうあんてぃるしょとう(英語表記)Lesser Antilles

翻訳|Lesser Antilles

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小アンティル諸島」の意味・わかりやすい解説

小アンティル諸島
しょうあんてぃるしょとう
Lesser Antilles

カリブ海東部大アンティル諸島東端のプエルト・リコ島の東からベネズエラの北東沖まで弧状に連なる諸島。一般にはバージン諸島からグレナダ島を経てベネズエラ北方沖の旧オランダ領アンティル諸島までをいうが、地質学者は地質構造の点から、バージン諸島とアンギラ島の間のアネガダ海峡からグレナダ島までを小アンティル諸島とよんでいる。火山島からなり、島々内帯と外帯に分かれる。内帯の島々は高度が1200~1500メートルに達する火山島で、険しい斜面と狭い沿岸平野が特色であるが、外帯の島々(アンティグア、バーブーダ、マリー・ガラント各島とグアドループ島の東半分)は古い火山体を石灰岩が覆って比較的平坦(へいたん)である。小アンティル諸島は北緯18度から12度にわたって分布するので北東貿易風の影響が強く、島々の風上側では年降水量が約1500~2000ミリメートルであるが、風下側の斜面では500~1000ミリメートルに減少する。気候は、風上側では熱帯雨林気候、風下側では熱帯夏雨気候となる。比高の低い島々では上昇気流がおこらないため降水量は少ない。夏から秋にかけて大西洋で発生するハリケーンの通過コースにあたり、多く被害が生ずることがある。また内帯の火山島は大噴火をおこすことがあり、グアドループ島のスーフリエール火山(1467メートル)は有史以後十数回噴火している。また同名のセント・ビンセント島のスーフリエール火山(1220メートル)は1979年に爆発し、島の3分の1が火山灰に覆われた。

[菅野峰明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小アンティル諸島」の意味・わかりやすい解説

小アンティル諸島
しょうアンティルしょとう
Lesser Antilles

西インド諸島の東部を構成する島群。大アンティル諸島の東端プエルトリコ島の東方にあるバージン諸島から,東に大きく張り出す弧を描いてベネズエラ湾の湾口近くまで連なる。北のリーワード諸島,南東のウィンドワード諸島南西アルバキュラソーボネールと,バルバドス島(→バルバドス),トリニダード島トバゴ島に大別できる。少数の大島からなる大アンティル諸島に対し,小アンティル諸島は多数の小島からなり,最大のトリニダード島でも面積 5000km2以下である。アメリカ合衆国,イギリス,フランス,オランダ,ベネズエラなどに属する非独立地域も多い。

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