日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロイスラー」の意味・わかりやすい解説
プロイスラー
ぷろいすらー
Otfried Preussler
(1923―2013)
ドイツの児童文学作家。チェコスロバキア(当時)、ボヘミア地方のリベレツに生まれる。教育者の家系で、自分も小学校の教師を務めた。ラジオドラマの脚本や絵本のテキストの仕事も多かったが、本格的な児童文学作家としての作品は『小さい水の精』(1956)が最初である。これは翌年ドイツ児童図書賞の特別賞を受け、さらに『小さい魔女』(1957)、『小さいおばけ』(1966)と続く「小さいシリーズ」は、超現実的な題材を扱いながら、リアリティーを失わず、明るいユーモアにあふれて、少年少女の心を強く引きつけた。泥棒だけでなく、魔法使いや妖精などの超現実的な存在をめぐって少年たちが活躍する三部作の活劇『大どろぼうホッツェンプロッツ』(1962、1969、1973)も、前記三部作に劣らぬ人気を集めた。その後、作者の故郷に近いラウジッツ地方の伝説に材をとった『クラバート』(1971)をはさんで、作者自身が挿絵を描いた『小人ヘルベのぼうけん』(1981)と、その続編『小人ヘルベと大食らいのツボッテル』(1983)が発表され、森の小人の生活と冒険、さらには大食らいの森の精とのつきあいを描くこの連作も、またまた子供たちに歓迎されることになった。彼の作品はドイツ児童図書賞に、受賞作を含めて何度もノミネートされ、さらに1972年には国際アンデルセン賞にノミネートされるなど、数々の栄誉に輝き、ドイツの代表的児童文学作家の一人として重きをなした。
[関 楠生]
『大塚勇三訳『小さい魔女』『小さい水の精』『小さいおばけ』(1965、1966、1967・学習研究社)』▽『中村浩三訳『大どろぼうホッツェンプロッツ』三部作(1966、1970、1975・偕成社)』▽『中村浩三訳『クラバート』(1980・偕成社)』▽『中村浩三訳『小人ヘルベのぼうけん』『小人ヘルベと大食らいのツボッテル』(1981、1983・偕成社)』