泥棒
どろぼう
Вор/Vor
ロシアの作家レオーノフの長編小説。旧版は1927年に発表されたが、その後、抜本的に改作され、思想的にも深化されて、まったく別の作品になった第二版が、約30年を経た59年に発表された。ソ連時代の新経済政策ネップのもとで革命に幻滅し、理想を失って泥棒の首領になる元赤軍政治委員ミチカ・ベクシンを主人公に、酔いどれと犯罪者の巣くう革命直後のモスクワの裏町を舞台にしたこの小説で、作者は革命が単に古い社会体制の変革だけではなく、過去の膨大な文化を自分のものとし、新しい文化を生む戦いでなければならぬことを説いた。ドストエフスキーの継承者レオーノフの代表的傑作として高く評価されている。
[原 卓也]
『原卓也訳『泥棒』(『世界文学全集14』所収・1965・集英社)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
どろ‐ぼう【泥棒・泥坊バウ】
〘名〙
① (━する) 他人の物をぬすみ取る者。ぬすびと。
盗賊。また、盗みをすること。
※狂歌・後撰夷曲集(1672)九「
白浪の濁りてくろきとろほうやすっぱのかはの流なるらん」
※黄表紙・江戸生艷気樺焼(1785)下「黒装束のどろぼう二人あらわれいで」
② なまけ者。放蕩者。また、ならず者。
※俳諧・俳諧次韻(1681)「生づらを蹴折かれては念無量〈
揚水〉 泥坊消て雨の火青し〈芭蕉〉」
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世界大百科事典内の泥棒の言及
【盗賊】より
…他人の財物を略取する者をいう。どろぼう,盗人とも呼ばれるが,それらより凶悪な者を指すことが多い。盗んだ物を貧しい者に分け与える義賊とは異なり,恐れられることが多いが,稀代の大盗賊のなかには,民衆からひそかな喝采(かつさい)をおくられた者も少なくなかったことが知られている。
[ヨーロッパ]
ローマ最古の成文法である十二表法の第8表には,夜間盗みを行った者を現場で捕らえたとき,被害者は殺してもさしつかえないという規定があり,盗みに対する制裁措置が過酷であった。…
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