へき開(読み)ヘキカイ

化学辞典 第2版 「へき開」の解説

へき開
ヘキカイ
cleavage

鉱物の物理的性質の一つ.機械的な力によって,つねに簡単な有理指数を有する一つないし数個の平滑平面が,平行に分離する結晶の性質で,鉱物のすべての結晶に存在する固有の性質.へき開の程度は,質的に,非常に完全,完全,明瞭,良好,不完全および不明瞭に区別される.また,その程度と方向は鉱物の鑑定上きわめて大切な要素である.へき開と結晶構造との関係については多くの報告がなされ,
(1)すべての等軸イオン化合物で一般式AXで示されるものは{100}面に平行なへき開を有する,
(2)へき開はイオン結晶における根基を決して破壊しない,
などの結果が出ている.なお,へき開は鉱物のみでなく,岩石においても,二次的にできた流理構造のことをいうが,これは鉱物の場合と区別して,岩石へき開といわれている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「へき開」の意味・わかりやすい解説

へき(劈)開【へきかい】

鉱物や結晶をたたいたとき一定方向の面に沿ってだけ割れること。このような性質をへき開性,その面をへき開面という。鉱物結晶を構成する原子結合力が方向により異なるために生ずる。ケイ酸塩鉱物ではケイ素酸素四面体どうしの結合は強く,この方向にはへき開は生じない。へき開の起こりやすい程度を,その最も著しいものから完全,良好,明瞭,不明瞭などと区分するが,これは特にはっきりした基準によるものではない。岩石の場合は,変形作用によって二次的に生じた細密な面状構造をいう。

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