結晶構造の基本単位として、SiO4四面体(中心にケイ素をもち4個の酸素が四面体の頂点に位置する)が存在する鉱物。珪酸塩鉱物の分類はこの四面体の結合の仕方によって行われ、次の6種類に大別される。
(1)ネソ珪酸塩鉱物nesosilicates(オルト珪酸塩鉱物) 基本基として独立の四面体、SiO4を含む(ざくろ石、橄欖(かんらん)石など)。
(2)ソロ珪酸塩鉱物sorosilicates 基本基として独立の2個~4個の四面体が一つの頂点を共有したもの。たとえばSi2O7を含む(ローソン石、異極鉱など)。
(3)シクロ珪酸塩鉱物cyclosilicates(環状珪酸塩鉱物) 基本基としてリング状に結合した四面体、たとえば3個のSi3O9、4個のSi4O12、6個のSi6O18などを含む(緑柱石、電気石など)。
(4)イノ珪酸塩鉱物inosilicates(鎖状珪酸塩鉱物) 四面体が一方向に伸びた鎖状の結合をしている。単鎖(輝石類、珪灰石など)、複鎖(角閃(かくせん)石類など)、三鎖、複鎖と三鎖の両方を含むものなどがある。
(5)フィロ珪酸塩鉱物phyllosilicates(層状珪酸塩鉱物) 四面体が平面的に結合したもの(雲母(うんも)類、緑泥石類など)。
(6)テクト珪酸塩鉱物tectosilicates(網状珪酸塩鉱物) 三次元的に四面体が結合したもの(長石類、沸石類など)。
珪酸塩鉱物は、地殻を構成する重要な鉱物を含み、いろいろな地質環境のもとで生成される。現在1000種類以上が知られている。多くの珪酸塩鉱物は資源として重要な位置を占め、とくに粘土鉱物、長石類、雲母類、紅柱石、珪灰石、滑石、蛇紋石はよく使用される。またベリリウム、ジルコニウム、ハフニウム、トリウムなどの元素の原料となる鉱物もある。
[松原 聰]
silicate minerals
珪素を中心とした珪酸基([SiO4]4-)四面体(珪素酸素四面体)を基本にもつ一群の鉱物。多くの元素と化合物をつくり地球の固体の大部分を占める点で重要。またセラミックス原料や製品の重要な部分を占めている。珪酸塩鉱物の分類は歴史的には多珪酸塩を考え次のような命名がなされていた。オルソ(オーソ)H4SiO4(H2n+2 SinO3n+1);メタH2SiO3(H2nSinO3n);メソH2Si2O5(H2n-2 SinO3n-1);パラH2Si3O7(H2n-4Sin O3n-2)。しかし,これによっては複雑な組成を分類することができず,混乱を生じた。今日では結晶構造に基づく分類がSiO4の縮合の度合の順に以下のように分類されている。1)ネソ珪酸塩(nesosilicates)鉱物:縮合のない単独のSiO4四面体を構造中にもつ鉱物で,かんらん石とざくろ石グループが代表的。ネソはギリシア語起原で「島」の意味,孤立した[SiO4]4-を表す。2)ソロ珪酸塩(sorosilicates)鉱物:2個のSiO4四面体が一つの酸素頂点を共有して縮合したソロ珪酸基[Si2O7]6-をもつグループ。代表的鉱物は異極鉱やゲーレナイトグループなどがあり,SiO4とSi2O7の両方をもつものにはベスビアナイト,緑れん石グループ,パンペリー石などがある。ソロはギリシア語起原の「グループ」の意。3)サイクロ(またはシクロ;環状)珪酸塩(cyclosilicates)鉱物:SiO4四面体が三つ以上(3,4,6,8,9,12個など)が酸素の頂点を共有して環(リング=シクロ)状に縮合した構造をもつ鉱物。ただし,8個以上の組合せはきわめてまれ。大隅石は6-リングが二つ重なった構造をもつ。次のイノ珪酸塩からテクト珪酸塩の構造中には部分的に見ると縮合のさらに進んだ種々のリング構造が存在するが,それらは,それぞれの分類に入れシクロ珪酸塩には含めない。4)イノ珪酸塩(inosilicates)鉱物:鎖状(チェーン)珪酸塩鉱物とも。SiO4四面体が二つの酸素を共有して鎖状に無限にのびた単鎖(SiO3)構造をもつ鉱物群は輝石グループや青海石などにみられる。2本の鎖が並行に並び酸素を共有して二重鎖(Si2O5)をつくると角閃石グループ・ゾノトラ石などを形成。まれだが,三重鎖,三重鎖と二重鎖の組合せなどからなる鉱物もある。イノはギリシア語の「糸」または「鎖」の意。5)フィロ珪酸塩(phyllosilicates)鉱物:層状(シート)珪酸塩鉱物とも。SiO4四面体が三つの酸素を共有して無限の二次元層(Si2O5)構造を形成。雲母,緑泥石,蛇紋石などが代表的グループ。一般に粘土鉱物と呼ばれているものもこのグループである。層間にアルカリ,アルカリ土類イオンなどと水分子などが入り,層に沿って劈開が発達。Siの一部がAlに置換されることもある。フィロはギリシア語の「葉」ないし「シート」の意。6)テクト珪酸塩(tectosilicates)鉱物:SiO4四面体四つのすべての酸素が隣の四面体によって共有された構造で,最も縮合が進んだもの。三次元網目(SiO2)構造(フレームワーク珪酸塩,立体網珪酸塩とも)を形成。最も単純な組成をもつテクト珪酸塩鉱物の石英SiO2は酸化鉱物としても扱われる。SiO2はそれ自身電荷が閉じているので,Si4+の一部をAl3+などのイオン半径の似たものと置き換え,電荷を均衡させるためにアルカリ,アルカリ土類イオンが入って種々の構造の鉱物を形成する。代表的なものには,長石・かすみ石・沸石グループなどがある。テクトはギリシア語の「フレームワーク」の意。ラテン語のsilicis(火打石)に由来。
執筆者:松原 聰・嶋崎 吉彦

出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
ケイ素Siと酸素Oを主成分とする鉱物で,岩石の主要構成鉱物である。各種のケイ酸の水素原子を種々の金属原子で置き換えた化学組成を有する。ケイ酸塩鉱物は,ケイ素原子1個とそれを取り囲む酸素原子4個からなるSiO4正四面体がその構造の基本になっている。このSiO4四面体の結合の仕方によってケイ酸塩鉱物は6種類に分類される。図にこれら6種類のケイ酸塩鉱物の名称,SiO4四面体の結合様式および代表的な例を示す。
ネソケイ酸塩nesosilicate(オルトケイ酸塩orthosilicateともいう)では,SiO4四面体は独立して存在し,酸素原子は共有されていない。これらのSiO4四面体の間にMg2⁺,Fe2⁺,Ca2⁺などの陽イオンが入り四面体を結びつけている。
ソロケイ酸塩sorosilicateでは2個のSiO4四面体が1個の酸素原子を互いに共有して連結している。
サイクロケイ酸塩cyclosilicate(環状ケイ酸塩ring silicateともいう)ではSiO4四面体が2個の酸素原子を互いに共有して連結し環を作っている。一つの環をつくる四面体の数は3,6,12などである。
イノケイ酸塩inosilicate(鎖状ケイ酸塩chain silicateともいう)では,SiO4四面体が2個の酸素原子を共有して無限に連なり,一次元の長い鎖を作っている(例えば輝石)。鎖が2本互いに平行に連結しているもの(角セン石)もある。鎖と鎖との間にはCa2⁺,Mg2⁺,Fe2⁺,Al3⁺などの陽イオンが入り,鎖を互いに結びつけている。しかし,その結合力はSi-Oの結合力より弱いため,鎖と鎖との間が切れやすい。これが鎖の延長方向(c軸方向)に平行なへき開が生じやすい原因である。
フィロケイ酸塩phyllosilicate(層状ケイ酸塩sheet silicateともいう)では,SiO4四面体が3個の酸素原子を互いに共有して無限に連なっており,二次元的な平らな層状構造を作っている。多くのフィロケイ酸塩鉱物は含水鉱物であり,SiO4の形成する層と層の間に水素原子が入り水酸基OHを作っている。また種々の陽イオンも入って層と層とを結びつけている。しかしこの結合力はSi-Oの結合力より弱いため,Si-Oよりなる層と層の間が裂けやすい。これが雲母などが薄くはがれやすい原因である。
テクトケイ酸塩tectosilicate(網状ケイ酸塩network silicateともいう)では,SiO4四面体が4個の酸素原子すべてを互いに共有して無限に連なっており,三次元的な網状構造を作っている。ただし長石のように,SiO4のSiの一部をAlが置換しているものも多い。
ケイ酸塩鉱物のほとんどのものは固溶体を作る。すなわち,ケイ酸塩鉱物の基本的な構造は変化せずに陽イオンどうしがその量比を連続的に変化させる。最も普通に見られるものはMg2⁺とFe2⁺が置換するものである。例えば,カンラン石はMg2SiO4とFe2SiO4との間の固溶体である。その他Na⁺とK⁺,Ca2⁺とMg2⁺とFe2⁺,Al3⁺とFe3⁺などの置換,および2種の陽イオンどうしの置換,例えばMg2⁺・Si4⁺と2Al3⁺やCa2⁺・Mg2⁺とNa⁺・Al3⁺などがある。
ケイ酸塩鉱物は地球上のほとんどすべての岩石やそれが風化して生じた土壌,および月の岩石や隕石の主要構成鉱物である。これは太陽系に存在する元素の中でケイ素と酸素の占める割合が大きいことによる。ただしケイ酸塩鉱物は超高圧下では相転移したり,あるいは分解したりして上記のようなケイ酸塩鉱物の特徴的な構造を失い,酸化鉱物などの構造になる。したがって地球深部(マントル中部,下部)ではケイ酸塩鉱物は存在しない。
執筆者:久城 育夫
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