改訂新版 世界大百科事典 「ヘルデルラント」の意味・わかりやすい解説
ヘルデルラント
Gelderland
オランダ東部の州で,東縁はドイツに接する。面積4983km2,人口197万5000(2006)。州都アルンヘム。古くは地方名。この州は,北はアイセル湖から南はライン・マース川にいたる広い地域を占め,フェリューウェ(北側の丘陵地帯。灌木林),ライン・マース沖積地,アハテルヒュック(奥地の平野)の三つの地帯から構成されている。これは,ドイツのライン地方のゲルデルンGeldernに本拠を置くゲルデルン(ヘルデル)公家が13世紀以来ネーデルラント地方に勢力を伸ばして,各地帯を領土として統合した歴史的経緯による。同公家は,ブルゴーニュ・ハプスブルク家と長年にわたりネーデルラントの覇権を争ったが,1543年敗れて併合された。その後,オランダ独立戦争に当たって,ヘルデルラントの北部(現オランダ領)のみがユトレヒト同盟に加盟して,オランダ共和国の一州となった。この地域は,長年発展から取り残され,一部に木材,製紙,人絹などの工業を数えるのみであったが,戦後,高速自動車道やアムステルダム・ライン運河の便に助けられ,ナイメーヘンやティールTielなどに金属・機械工業などが勃興している。
執筆者:石坂 昭雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報