ヒース(読み)ひーす(英語表記)Edward Richard George Heath

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒース」の意味・わかりやすい解説

ヒース
heath

植物生態学の用語で,針葉または線状のいわゆるヒース型の葉をもつ小低木が茂った乾原のこと。一般にはそのヒースに生じる小低木,特にツツジ科エリカErica やハイデソウ Calluna vulgaris などをヒースと呼ぶこともある。イギリス,ドイツ,スカンジナビアなど北ヨーロッパの寒冷地に発達するヒースが最も著名で,高層湿原が乾燥して陸化したあとに典型的なものができる。南アフリカ共和国ケープ地方や南アメリカ南端部のパタゴニア地方にも大規模なものがある。小規模のものは高山の森林限界以上の高所によく現れ,日本の高山帯のガンコウランコケモモツガザクラなどの群落広義にはヒースに入る。ライチョウ類はヒースの葉を食べる特徴的な鳥である。一方,園芸界で通常ヒースと呼んでいるのはエリカ属のもので,南アフリカ原産の E. melanthera とヨーロッパ産の E. carnea が多い。(→ブライア

ヒース
Heath, Sir Edward Richard George

[生]1916.7.9. ブロードステアーズ
[没]2005.7.17. ソールズベリー
イギリスの政治家。オックスフォード大学卒業。 1950年保守党下院議員に初当選。 1952年保守党下院院内総務。 1959年労働大臣。 1960年国璽尚書として外交問題を担当,1961年からイギリスのヨーロッパ経済共同体 EEC加盟交渉の首席代表を務めた。 1963年商務大臣。 1965年保守党党首となったが 1966年の総選挙で保守党は大敗した。しかし 1970年6月の総選挙で労働党を破り,首相就任。 1972年イギリスのヨーロッパ共同体 EC加盟に成功したあと,総選挙で敗れ 1974年辞任。 1979年にイギリス史上初の女性首相となった保守党のマーガレットサッチャーの政権時代にはその強硬な内外政策に反発,党内反サッチャー勢力の代表的存在となった。 1992年ナイトに叙された。 2001年政界引退

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒース」の意味・わかりやすい解説

ヒース(Edward Richard George Heath)
ひーす
Edward Richard George Heath
(1916―2005)

イギリスの政治家。大工の家に生まれ、奨学金でオックスフォード大学を卒業。1950年保守党下院議員となった。保守党院内総務を務めたのち、マクミラン内閣で労働相、国璽尚書(こくじしょうしょ)を歴任、ヨーロッパ経済共同体(EEC)への加入交渉にあたった。1965年保守党党首となり、1970年の総選挙で勝利して首相に就任、ヨーロッパ共同体(EC)加入を実現した。1974年の総選挙で敗れて首相の座から退き、1975年には党首選でサッチャーに敗北した。1992年ナイトに叙された。2001年政界を引退。

[木畑洋一]


ヒース(植物)
ひーす
heath

イギリスでは本来荒れ地を意味するが、そこにはエリカ属Ericaの低木が多く、それらの植物もヒースとよばれている。生態的には乾原のエリカ属やカルーナ属Callunaギョリュウモドキ)の群落をいう。

[湯浅浩史]

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