ベニコウジカビ(読み)べにこうじかび

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベニコウジカビ」の意味・わかりやすい解説

ベニコウジカビ
べにこうじかび
[学] Monascus

子嚢(しのう)菌類、核菌類コウジカビ目ベニコウジ属のカビをいう。おもな種にベニコウジカビM. purpureus、モナスカス・バルケリM. barkeriがある。この属のカビは、菌糸隔膜があり、分岐しながら伸長する。培養が長くなると、集落(コロニー)は赤色色素を生産し、全体が鮮紅色または紫色を呈するようになる。閉子嚢殻は菌糸の先端に形成され、その中に球形の子嚢をもつ。子嚢の中には8個の楕円(だえん)形の子嚢胞子ができる。無性生殖は菌糸側に分生胞子柄(分生子柄)をつくり、先端に2、3個連鎖した分生胞子を形成する。学名はmono(単一)、ascus(子嚢)の合成語で、子嚢殻中の子嚢壁が溶解消失すると、子嚢殻中にはただ一個の子嚢が含まれているようにみえることによる。中国やマレー諸島では、ベニコウジカビを用いて紅酒(アンチウ)やサムツsamzu酒をつくる。

[曽根田正己]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベニコウジカビ」の意味・わかりやすい解説

ベニコウジカビ(紅麹黴)
ベニコウジカビ
Monascus purpureus

子嚢菌類コウジカビ目ベニコウジカビ科。炭水化物の糖化力が強く,コウジカビと同様に酒の醸造の際,穀類の炭水化物を糖化させるのに用いられている。中国東北,韓国などの紅色の麹子 (麹) ,台湾の紅酒 (あんちゅう) の原料紅か (あんか) から分離されている。またこの菌は鮮紅色の色素を生じるので中国広東省地方で紅糟 (あんちゅう) と称する染料物質をつくり,食品ことに肉類着色のために輸出していたが,これからも分離できた。菌糸は初め白いが,次第に鮮紅色となるのが著しい特徴である。

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