アジア大陸の南東部,オーストラリア大陸との間に散在する多数の島々の総称。マライ諸島ともいう。大別して,(1)スマトラ,ジャワ,ボルネオその他スンダ海棚上の島を含む西部島群(大スンダ列島),(2)バリ島以東のいわゆる小スンダ列島およびスラウェシ,モルッカ諸島を含む東部島群,(3)フィリピン群島の3群となる。世界でもまれにみる自然力の激しい地域で,アルプス・ヒマラヤ造山帯の延長部と環太平洋造山帯の接触するところにあたる。前者は大小スンダ列島の中枢部を形成,同時に多数の火山活動を伴い,地球上で最もその活動の盛んな地域の一つをなす。後者はフィリピン群島を形成し,これまた多くの火山を伴う。いずれも地盤が不安定で,地震も多い。しかし,スマトラ東岸やボルネオはスンダ海棚上に,またモルッカ東部のアルー諸島方面はサフール海棚上にあって,地盤の安定したところである。気候的には赤道を中心に南北に緯度で7°ほどは年中多雨の熱帯雨林気候をなすが,それ以外は熱帯モンスーン気候で乾季,雨季が交代する。東へいくにしたがって雨量は少なくなる。全体として豊富な植物に覆われ,〈赤道に掛けられたエメラルドの首飾〉の形容句さえ生じた。資源も豊かで,一般に熱帯としては住みよい環境をもつため,古くから開け,現在も2億を超える人口をもち,地政学的にも世界で重要な価値を有する。ただ開けた島と未開拓の島の差がまだ極端であり,そこにこの地域の今後の問題点がある。
執筆者:別技 篤彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
アジア大陸とオーストラリア大陸との間に散在する東南アジアの島々の総称。大スンダ列島(スマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島、スラウェシ島とそれらの属島)、小スンダ列島(バリ島以東チモール島に至る島々)、モルッカ諸島およびフィリピン群島からなる。インドネシア、マレーシア、フィリピン、ブルネイなどの国々に属し、マライ諸島、東インド諸島ともいう。世界最大の諸島で面積242万平方キロメートル。アルプス‐ヒマラヤ造山帯と環太平洋造山帯が接する所に位置し、多数の火山が活発な活動を行っている。
気候は熱帯のため高温多湿で、年平均気温は27℃、年降水量は2000ミリメートル前後である。米、コーヒー、茶、タバコ、香料、アバカ(マニラ麻)、キナ、ゴム、コプラ、チーク、竹などが栽培され、鉱産物は石油、錫(すず)、ダイヤモンド、石炭などがある。ほかに林産物、水産物などの資源も豊富であるが、各島間の開発度の差が著しく、島々の経済には格差がある。住民はマレー系種族の占める比率が高いが、古来民族移動が激しかったことと島の孤立性が強く作用し、各島の文化には大きな差異がある。マジェランの世界一周航海後、ヨーロッパ人の間に豊かなこの諸島の存在が知れ渡り、スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリスなどの列強が競ってこの地に進出した。その後アメリカ、ついで日本も加わったが、第二次世界大戦後植民地が独立するまで、これら諸国が交代で植民地支配を行った。
[上野福男]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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