マレー諸島(読み)まれーしょとう(英語表記)Malay Archipelago

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マレー諸島」の意味・わかりやすい解説

マレー諸島
まれーしょとう
Malay Archipelago

アジア大陸とオーストラリア大陸との間に散在する東南アジアの島々総称大スンダ列島(スマトラ島、ジャワ島ボルネオ島、スラウェシ島とそれらの属島)、小スンダ列島(バリ島以東チモール島に至る島々)、モルッカ諸島およびフィリピン群島からなる。インドネシア、マレーシア、フィリピン、ブルネイなどの国々に属し、マライ諸島、東インド諸島ともいう。世界最大の諸島で面積242万平方キロメートル。アルプス‐ヒマラヤ造山帯と環太平洋造山帯が接する所に位置し、多数の火山が活発な活動を行っている。

 気候は熱帯のため高温多湿で、年平均気温は27℃、年降水量は2000ミリメートル前後である。米、コーヒー、茶、タバコ、香料、アバカ(マニラ麻)、キナ、ゴム、コプラ、チーク、竹などが栽培され、鉱産物は石油、錫(すず)、ダイヤモンド、石炭などがある。ほかに林産物水産物などの資源も豊富であるが、各島間の開発度の差が著しく、島々の経済には格差がある。住民はマレー系種族の占める比率が高いが、古来民族移動が激しかったことと島の孤立性が強く作用し、各島の文化には大きな差異がある。マジェランの世界一周航海後、ヨーロッパ人の間に豊かなこの諸島の存在が知れ渡り、スペインポルトガルオランダイギリスなどの列強が競ってこの地に進出した。その後アメリカ、ついで日本も加わったが、第二次世界大戦後植民地が独立するまで、これら諸国が交代で植民地支配を行った。

[上野福男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マレー諸島」の意味・わかりやすい解説

マレー諸島
マレーしょとう
Malay Islands

アジア大陸とオーストラリア大陸との間にある島嶼群の総称。マレー半島のクラ地峡以南を含める場合が多い。東インド諸島,亜豪地中海地域とも呼ばれてきた。マカッサル,ロンボク両海峡を境として,アジアの大陸棚にあるスマトラ島,ジャワ島,ボルネオ (カリマンタン) 島と,深海からそびえるフィリピン諸島,スラウェシ (セレベス) 島,小スンダ列島,マルク (モルッカ) 諸島に分れる。住民はマレー人で,古くはインド,イスラム両文明の影響を受け,近代に入ってはヨーロッパ列強に植民地として分割された。第2次世界大戦後,大部分がインドネシア,フィリピン,マレーシアの3国となって独立した。熱帯季節風気候と熱帯雨林気候で,稲作中心の農業を基本とし,キャッサバ,トウモロコシ,サトウキビ,ココヤシなどの栽培が盛ん。スズ,石油などの鉱物資源,林産資源も豊富であるが,開発の差があり島によって経済的格差がある。

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