べらなり(読み)ベラナリ

  • 助動

デジタル大辞泉の解説

[助動][○|べらに|べらなり|べらなる|べらなれ|○]《推量の助動詞「べし」の語幹「べ」+接尾語「ら」+断定の助動詞「なり」》活用語の終止形、ラ変型活用は連体形に付く。状態の推量を表す。…ようだ。…ように思われる。
「なきとむる花しなければ鶯もはてはものうくなりぬべらなり」〈古今・春下〉
[補説]平安初期には訓点語として用いられ、中期には歌語として盛んに用いられた。連用形の例は少ない。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

〘助動〙 (活用は「〇・べらに・べらなり・べらなる・べらなれ・〇」。活用語の終止形に付く。ラ変型活用の語には連体形に付く) 推量の助動詞。…のようである。…しそうな様子である。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九「是の長者を見て、心に希所有るべらにして随逐して瞻はり視るに」
※古今(905‐914)秋・上・一九五「秋の夜の月のひかりしあかければくらぶの山も越えぬべら也〈在原元方〉」
[語誌](1)上代の資料には見えない。成立については、「べし」と関係づける解釈が一般的で、「清し」から「清らなり」が派生したのと同様に、「べし」から派生したとされる。形態、意味、接続、上接語の傾向などの点で「べし」との類似性が認められる。
(2)「古今集」など、平安初期の和歌文学作品では男性歌人が多く使っている。そのため、当時の男性が口頭語で用いたとする説もあるが、定かでない。いずれにせよ、訓点資料等にも用例が見え、「べらなり」を「歌語」と呼ぶのは適当でない。
(3)平安中期以降は古語化していったようで、「俊頼髄脳」に「『べらなり』といふことは、げに昔のことばなれば、世の末には、聞きつかぬやうに聞こゆ」とある。

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