ペタンク(読み)ぺたんく(その他表記)petanque

翻訳|petanque

デジタル大辞泉 「ペタンク」の意味・読み・例文・類語

ペタンク(〈フランス〉pétanque)

フランスのプロバンス地方に生まれたゲーム。一人対一人、二人対二人、三人対三人などで行われ、直径7~8センチ、重さ600~800グラムの鉄球を6~10メートル離れた木製的球目がけて放って、いかに近づけるかを競う。フランスの代表的な市民スポーツとなっている。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ペタンク」の意味・読み・例文・類語

ペタンク

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] pétanque ) 南フランスのプロバンス地方に生まれたゲーム。一人対一人、二人対二人、三人対三人などで行なわれ、直径七~八センチメートル、重さ六〇〇~八〇〇グラムの鉄球を六~一〇メートル離れた木製の的球に向け投げ、いかに近づけるかを競う。フランスの代表的な市民スポーツ

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペタンク」の意味・わかりやすい解説

ペタンク
ぺたんく
petanque

目標となる木製の小球(ビュット)に金属製の球を投げ合い、より近づけることを競う球技。地中海沿岸地方で盛んなブール競技の一つである(ブールbouleはフランス語で球の意)。ブール競技の歴史は古く、その起源は紀元前10世紀ごろと推定され、中世には街なかの広場でみかけるほど盛んになり、その後何世紀にもわたってヨーロッパの人々に親しまれてきた。このなかでペタンクはもっとも新しく、1910年、プロバンサル(フランスのマルセイユで盛んなブール競技)のチャンピオンであったジュール・ノアールが、だれにでもできるように投球時の助走をなくし(他のブール競技はすべて助走をつけて投球する)、距離も短くしたのが始まりである。ちなみにペタンクとは「足をそろえる」という意味の南フランス方言が語源となっており、地面に描いたサークルの中から投球する点が他のブール競技と異なっている。

 ペタンクは1チーム3人、1人の持ち球(直径70.5~80ミリメートル、重さ650~800グラム)2個で行うのが基本だが、ダブルスシングルス(いずれも1人の持ち球3個)でも対戦できる。ゲームは先攻チームの1人がサークル(直径30~50センチメートル)からビュットを6~10メートルの間に投げ、まずこのビュットに近づけるように持ち球の1個を投球する。それ以降は、投げた持ち球がビュットから遠いチームから投球していく。両方のチームが全部投げ終わって1セットが終わる。相手チームのもっともビュットに近い球よりさらに近い球の数がそのセットでの得点となる。このようにしてセットを繰り返し、13点先取したチームが勝ちとなる。コート長方形で、幅4メートル以上、長さ15メートル以上あればよい。

 ぺタンクのほか、スポールブールとラッファの三つのブール競技を統括する組織である世界ブールスポーツ連合Confédération Mondiale Sports Boules(略称CMSB)は国際オリンピック委員会加盟団体である。ペタンクが日本に紹介されたのは昭和40年代で、フランスを代表する庶民のスポーツとして、日仏文化協会が「ペタンクの手引き」「ペタンク競技規則」などを発刊して以来、全国的に知られるようになり、若い人から高齢者まで楽しめる生涯スポーツとして普及してきている。

[村瀬良臣]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ペタンク」の意味・わかりやすい解説

ペタンク
pétanque[フランス]

球を投げて小さな標的球に近づけることを競うゲーム。石を転がす遊びはきわめて古くからあるが,現在のようなペタンクは,20世紀初め南フランスのプロバンス地方に始まり,マルセイユを中心にフランス全土に広まった。現在では西ヨーロッパ,フランス語圏を中心とするアフリカ,東南アジア諸国などに広く普及している。1965年国際ペタンク連盟が設立され,毎年世界選手権大会が行われる。日本には71年ころボンボールの名で一時紹介され,その後ボール・カロッティとして普及した。74年日本ペタンク連盟が設立され,国際ペタンク連盟にも加盟している。ゲームは幅4m,長さ15mほどのコートを設定し,直径7.5~8cm,重さ650~800gの鉄製ボールを使用する。2組に分かれ(1対1,2対2,3対3などがある),手持ちボールは1人2~3個とする。まず先攻チームがビュットbutまたはコショネcochonnetと呼ばれる木製の標的球を転がし,両チームが交互にボールを投げる。投げ方は手の甲を上にボールを包みこむように持ち,アンダースローで逆スピンをかける。以後はベストボール(ビュットに最も近いボール)がビュットから遠いチームが投げ,すべて投げ終わったところで1セット終了,相手チームのベストボールよりビュットに近い球が得点となる。こうしてセットをくり返し,13点先取したチームが勝つ。ビュットや相手ボールをはじいてもよく,心理的なかけひきが要求される知的ゲームである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「ペタンク」の意味・わかりやすい解説

ペタンク

木製の小さなビュットbut(標的球)に金属製のボールを投げあい,より近づけることによって得点を競うゲーム。相手のボールに当てて妨害したり,味方のボールに当てて援助したりできる。相手チームのボールよりビュットに近いボールが1個あれば1点,2個あれば2点として計算し,13点先取した方が勝ち。投げ方はアンダースローで,手のひらを下に向け,手首を返してボールに逆回転を与える。その起源は古代にさかのぼるが,20世紀初頭に南フランスのプロバンス地方で現在の形となり,フランス全土に広まった。1965年国際ペタンク連盟が設立され,毎年世界選手権大会が行われる。日本には1971年に紹介され,1974年日本ペタンク連盟が設立された。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペタンク」の意味・わかりやすい解説

ペタンク
petanque

フランスで生れたスポーツ。縦 15m,横 4mのコートの中で,ビュットという木製の目標球めがけて鉄のボール (約8センチ) を投げ,ビュットにどれだけ近いかを競うゲーム。日本には 1965年頃紹介された。相手ボールをはじき飛ばしたり,ボールを空中高く飛ばす技もあり,バリエーションに富んでいる。ゲームは3人対3人 (トリプル) で行うのが基本である。ペタンクはプロバンス語の「両足を揃える」という意味に由来している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android