ペレスデアヤラ(その他表記)Ramón Pérez de Ayala

改訂新版 世界大百科事典 「ペレスデアヤラ」の意味・わかりやすい解説

ペレス・デ・アヤラ
Ramón Pérez de Ayala
生没年:1881-1962

スペインの小説家,詩人,批評家。オビエド生れ,同地の大学で法律を学ぶ。教授で批評家のクラリンClarín(1852-1901)に師事し,欧米を旅行したあと,第1次大戦ではアルゼンチンの《ラ・プレンサ》紙の特派員としてイタリア戦線に赴く。共和政府のもとでは思想的指導者の一人で,駐英大使にも任命されたが,フランコ政権成立後,アルゼンチンへ亡命。1955年に帰国が許された。詩人としては知的で,象徴的な詩集小径(こみち)の平和》(1903),《多くの小径》(1916)などがあり,随筆仮面》(1917-19)では文明批評家としての炯眼けいがん)を示している。小説は辛辣なユーモアと心理描写が本領で,信仰理性の問題を象徴的に描いた《ベラルミーノとアポローニオ》(1921)が代表的作品。ほかに,〈ドン・フアン〉の新解釈といえる《虎のフアン》(1926)とその続編汚辱を癒(いや)すもぐり医者》(1926)などもすぐれた心理小説である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペレスデアヤラ」の意味・わかりやすい解説

ペレス・デ・アヤラ
Pérez de Ayala, Ramón

[生]1880.8.9. オビエド
[没]1962.8.5. マドリード
スペインの詩人,小説家。第1次世界大戦中はブエノスアイレスの新聞の特派員として,ヨーロッパ,南北アメリカを回った。言語アカデミー会員 (1928) 。駐英大使 (31~36) 。内乱後アルゼンチンに亡命したが,1955年に帰国を許された。心理小説にすぐれ,中編『プロメテオ』 Prometeo (16) ,『日曜の光』 Luz del domingo (16) ,長編『ベラルミーノとアポローニオ』 Belarmino y Apolonio (21) ,『虎のフアン』 Tigre Juan (26) などが代表作。

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百科事典マイペディア 「ペレスデアヤラ」の意味・わかりやすい解説

ペレス・デ・アヤラ

スペインの小説家,詩人,評論家。初期には知的で象徴的な詩集《小径の平和》(1903年)などを発表。随筆《仮面》(1917年―1919年)では文明批評家としての炯眼(けいがん)を示した。しかし彼の本領は小説であり,前期には,写実的,悲観的色彩の濃い自伝的小説を,また後期には,作中人物が抽象的,象徴的に描かれる主知的な心理小説を多く発表し,特に後期作品の中から数々の傑作が生まれた。信仰と理性の問題を描いた《ベラルミーノとアポロニーオ》(1921年),二人の〈ドン・フアン〉の間で揺れる女性を描いた《虎のフアン》(1926年)などがその代表である。

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世界大百科事典(旧版)内のペレスデアヤラの言及

【スペイン文学】より

…概してペシミズムを基調とし,真のスペインを発見しようとした〈98年世代〉に対し,ヨーロッパの思想に沿おうとした知識人たちを20世紀の〈第2の世代〉と呼ぶ。ここで際だっているのが《大衆の反逆》で知られる哲学者オルテガ・イ・ガセットと,《ベラルミーノとアポローニオ》の著者ペレス・デ・アヤラである。詩人としては,1956年にノーベル文学賞を受けたJ.R.ヒメネスが傑出しており,《石と空》をはじめとする彼の純粋詩の現代詩に対する影響は圧倒的である。…

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