改訂新版 世界大百科事典 「ホウオウゴケ」の意味・わかりやすい解説
ホウオウゴケ
Fissidens
蘚類のホウオウゴケ科,ホウオウゴケ属Fissidensの総称。世界に約900種が記録され,うち日本には40種余りある。とくに植物体が1cm以下の微小な種が多い。茎はほとんど分枝せず,葉は茎に左右2列につき,一平面上に規則正しく並ぶ。ホウオウゴケの名は植物体の端正な羽状の姿を,鳳凰(ほうおう)の尾羽に見たてたもの。葉の基部はアヤメの葉のように2片に分かれて,茎を強くはさむ。蒴(さく)は円筒形で直立または傾き,蒴歯は16枚で1列に並ぶ。オオホウオウゴケF.nobilis Griff.は日本産の本属の中で最も大きく最も普通の種で,全国の低山地の陰湿な土上や岩上に群生する。茎は長さ3~8cm,葉は披針形で長さ5~8mm,中央脈は先端近くに達する。葉の上半部の辺縁に大小不同の鋸歯がある。
執筆者:北川 尚史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報