化学辞典 第2版 「ホトルミネセンス」の解説
ホトルミネセンス
ホトルミネセンス
photoluminescence
光の吸収によって生じるルミネセンスをいう.応用の面で重要なエレクトロルミネセンス,陰極線ルミネセンス,X線ルミネセンスの発光中心の性質や発光過程などの基礎として,また物質のエネルギー帯構造や不純物の電子状態などを知るために研究されている.励起過程としては,物質の固有光吸収による電子と正孔の生成,含まれる不純物(あるいは活性化剤)にもとづく不純物吸収による種々の電子遷移(不純物準位とエネルギー帯間,異種の不純物準位間,単一の不純物による準位内の電子遷移)がある.発光過程はそれぞれの直接の逆遷移あるいは緩和過程を経たり,中間状態を通じたりした遷移である.したがって,一般の発光スペクトルは励起スペクトルより長波長側に観測される(これをストークスの法則とよぶ).しかし,2個の光子によって一つの励起状態が実現したり(二光子吸収という),励起状態からさらに高い励起状態に2段に励起されることもあり,これらの場合には入射光の波長よりも短波長側に発光が観測される(反ストークスルミネセンス).
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報