不純物準位(読み)フジュンブツジュンイ

化学辞典 第2版 「不純物準位」の解説

不純物準位
フジュンブツジュンイ
impurity level

不純物を添加することにより半導体の禁止帯中に発生するもので,この不純物のまわりに電子が局在したり欠けていることによって生じる準位をいう.この準位には,伝導帯の下端近くに存在するドナー準位(伝導帯に電子を供給する)と価電子帯の上端近くに存在するアクセプター準位(価電子帯に正孔を供給する)とがある.また,外部から加えられた不純物によるものだけでなく,結晶中の格子欠陥に由来する準位も含めていう.伝導帯または価電子帯に近い準位は,室温程度の熱エネルギー自由電子または正孔を励起し,電気伝導に寄与させる.また,禁止帯の中心部付近に存在する深い準位は,キャリヤーに対して捕獲中心再結合中心として動作するものが多い.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不純物準位」の意味・わかりやすい解説

不純物準位
ふじゅんぶつじゅんい
impurity level

結晶に不純物が入っていると,母体結晶のエネルギー帯のほか禁制帯内にエネルギー準位が現れる。これを不純物準位という。また母体結晶の格子欠陥によって生じる準位も不純物準位ということがある。浅い不純物準位の場合は,ドナー準位は伝導帯のすぐ下に存在して伝導帯に電子を与え,アクセプタ準位は価電子帯のすぐ上に存在して正孔を価電子帯に与える。たとえば,シリコン中の浅いドナーであるアンチモンは伝導帯から 0.039eVの位置に準位をつくる。従来あまり問題視されなかった (禁制帯中間に位置するような深い) 不純物準位と素子の動作との関連が明らかにされつつある。

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