ホムンクルス(その他表記)homunculus

翻訳|homunculus

改訂新版 世界大百科事典 「ホムンクルス」の意味・わかりやすい解説

ホムンクルス
homunculus

ラテン語homo(人間)の指小形で〈小さな人〉の意。解剖実験用の人体模型を指すほか,とりわけ魔術師が人工的に造り出すと考えられた人造人間に対して使われる。その方法に関するもっとも有名な記述は,パラケルスス著とされる《物の本性について》に見られる。人間の精液を蒸留瓶に密閉し腐敗させた後,馬の胎内と同温度にして人間の血でこれを養うと,一定期間を経て五体完全な小人が誕生するというのである。ルネサンスの自然魔術の系譜を踏むこの人間造出は,小宇宙(実験室)の中で原物質の死(腐敗)を通じて無垢(むく)の原人〈アントロポス〉を生む,死と復活の密儀思想を背景にもつ。したがってそれは,卑金属が死の関門をくぐった後黄金として蘇生すると考える錬金術の哲学と密接な関係にあった。いわゆる〈賢者の石〉の象徴にホムンクルスがしばしば用いられたのは,そのためである。これは文学にも深い影響を及ぼし,ゲーテの《ファウスト》2部2幕には,ホムンクルスが登場して活躍する。
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デジタル大辞泉プラス 「ホムンクルス」の解説

ホムンクルス

山本英夫による漫画作品。手術によりトラウマに基づく深層心理が具象化した姿を見ることができるようになった男の、さまざまな心の闇をもつ人との出会いを描く。『ビッグコミックスピリッツ』2003年第16号~2011年第12号に連載。小学館ビッグスピリッツコミックススペシャル全15巻。

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世界大百科事典(旧版)内のホムンクルスの言及

【霊長類】より

…またアルゼンチンで最初のオマキザル,ドリコケブスDolichocebusが発見されている。中新世から鮮新世にかけては高等霊長類の適応放散の時代で,コロンビアの中新世の地層からはホムンクルスHomunculusなど新世界ザルの化石資料が増え,ヨーロッパからアフリカにかけてはドリコピテクスDolichopithecus,メソピテクスMesopithecusなどのオナガザル科の化石が知られている。また,ヨーロッパではテナガザルの祖型と考えられているプリオピテクスPliopithecusが,イタリアからはオレオピテクスOreopithecusの完全な化石が発見されているし,プロコンスルProconsul,ドリオピテクスDryopithecus,ラマピテクスRamapithecus,ギガントピテクスGigantopithecusなどの現生類人猿やヒトに近縁な化石がアフロ・ユーラシア各地で発見されている。…

【ロボット】より

…ただし前者の活力源は牡牛の血液であり,後者も魔法で動く泥人形にすぎなかった。中世以降には錬金術師がレトルトの中で合成するという矮人ホムンクルスの伝説も流布した。またR.ベーコンは〈青銅の頭〉と呼ばれる人工の頭部をつくり予言を行わせたという。…

※「ホムンクルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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