ホロウェイ(読み)ほろうぇい(英語表記)Christopher John Holloway

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホロウェイ」の意味・わかりやすい解説

ホロウェイ
ほろうぇい
Christopher John Holloway
(1920―1999)

イギリス詩人批評家。大ロンドン市の南部クロイドンに生まれる。1938年から1941年までオックスフォード大学ニュー・カレッジで歴史を学び、1941年から1945年まで陸軍の砲兵隊と情報部に服務。第二次世界大戦後同カレッジに復帰、1945年から1949年まで同大学院で特別研究費を支給される大学院生(フェロー)となる。1945年歴史で学士号を、1947年哲学博士号を取得。このフェロー時代に、1945年ニュー・カレッジで短期講師として哲学を講じ、このときの成果がのちに『言語と知性』(1951)として実った。こののち英文学に関心を移し、1949年アバディーン大学の英文学講師となる。1955年からケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジの特待校友(フェロー)となり、その身分は終生続いた。同時に同大学の現代英文学講師となり、その後1966年から1972年まで上級講師(リーダー)、1972年以降教授となった。

 ホロウェイがもっとも注目されたのは、詩人としては1950年代であり、批評家としては1960年代前半である。ソ連問題研究家で詩人のロバート・コンクェストRobert Conquest(1917―2015)編による詩選集『ニュー・ラインズ(英詩の新方向)』(1956)に詩を寄せたことから、「ムーブメント」派の詩人とみられて詩壇に登場し、同年に詩集『瞬間』を出した。以後詩集は『陸地初認者たち』(1962)、『風と風の贈り物』(1965)と続くが、後期では『アポロ神のうたた寝』(1983)、ホロウェイ編の『オックスフォード版非主流詩集』(1987)、『キビタトゥラ(小都市)』(1993)などがある。最後の詩集はホロウェイが愛したケンブリッジの街と大学を歌った歴史的叙事詩である。

 1960年代の批評は、繊細でアカデミック文体と反文明的姿勢が特色である。『現代を映す鏡』(1960)、シェークスピア悲劇論『夜の物語』(1961)、『明快な音色』(1964)、『ライオン狩り』(1964)と続く。このほか1950年代に発表した『ビクトリア朝の賢者』(1953)をはじめ、『広がりゆく英詩の地平』(1966)、『誇らしい知識、詩と洞察力と自己1620―1920』(1977)、『物語と構造』(1979)がある。

[羽矢謙一]

『羽矢謙一「ジョン・ホロウェイ」(『オベロン』9巻2号所収・1966・南雲堂)』

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