日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボアボードラン」の意味・わかりやすい解説
ボアボードラン
ぼあぼーどらん
Paul Émile Lecoq de Boisbaudran
(1838―1912)
フランスの化学者。正規の学校教育を受けずに独学し、ワイン会社で働きながら、自分の家で実験を行った。彼の研究は、元素のスペクトル分析が主であり、この方法で、ピレネー地方で得た閃(せん)亜鉛鉱中に新元素が含まれていることをみいだし、続いて分離に成功した(1875)。これはガリウムと命名され、4年前にメンデレーエフが周期表により存在を予言していた元素に相当することがわかり、周期表の正しさを立証する先駆けとなった。1879年からは希土類について研究し、いくつかの酸化物の分離に成功し、また、元素の分離はできなかったが、サマリウム(1879)、ジスプロシウム(1886)などをスペクトル分析からみいだした。ガリウムの発見により、1879年イギリス王立協会からデービー・メダルを授与されている。
[吉田 晃]