ジスプロシウム(読み)じすぷろしうむ(英語表記)dysprosium

翻訳|dysprosium

デジタル大辞泉 「ジスプロシウム」の意味・読み・例文・類語

ジスプロシウム(dysprosium)

希土類元素ランタノイドの一。単体展性に富んだ灰色金属元素記号Dy 原子番号66。原子量162.5。ディスプロシウム

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精選版 日本国語大辞典 「ジスプロシウム」の意味・読み・例文・類語

ジスプロシウム

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] dysprosium ) 希土類ランタン系元素一つ。元素記号 Dy 原子番号六六。原子量一六二・五〇。六方晶系の金属。一八八六年、フランスのボワボードランが発見

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジスプロシウム」の意味・わかりやすい解説

ジスプロシウム
じすぷろしうむ
dysprosium

周期表第3族希土類元素に属し、ランタノイド元素の一つ。1886年、フランスのボアボードランによって吸収スペクトルの測定で、ホルミウム化合物から発見され、得にくいという意味のギリシア語dysprositosにちなんで命名された。主要鉱物はユークセン石フェルグソン石ガドリン石など。無水塩化物をアルゴン中で液状アルカリ金属で還元すると、銀白色の金属が得られる。空気中に室温で放置すると表面が酸化されるだけであるが、熱すると無色の酸化ジスプロシウム(Ⅲ)になる。

 熱水、酸に水素を発して溶ける。普通、酸化数+Ⅲの化合物をつくるが、ごくまれに+Ⅳのものも知られる。

[守永健一・中原勝儼]



ジスプロシウム(データノート)
じすぷろしうむでーたのーと

ジスプロシウム
 元素記号  Dy
 原子番号  66
 原子量   162.50±3
 融点    1412℃
 沸点    2560℃
 比重    8.55
 結晶系   六方
 元素存在度 宇宙 0.36(第61位)
          (Si106個当りの原子数)
       地殻 3.0ppm(第41位)
       海水 0.82×10-3μg/dm3

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化学辞典 第2版 「ジスプロシウム」の解説

ジスプロシウム
ジスプロシウム
dysprosium

Dy.原子番号66の元素.電子配置[Xe]4f 106s2の周期表3族ランタノイド元素.希土類元素イットリウム族の一つ.原子量162.500(1).質量数156(0.056(3)%),158(0.095(3)%),160(2.329(18)%),161(18.889(42)%),162(25.475(36)%),163(24.896(42)%),164(28.260(54)%)の7種の安定同位体と,質量数138~173の放射性同位体が知られている.1886年,ホルミウム化合物中に存在することをP.E.L. de Boisbaudranが発見した.元素名はギリシア語で“得がたい”を意味するδυσπροσιτο(dysprositos)から.ガドリン石,フェルグソン石などに含まれる.地殻中の存在度3.7 ppm.希土類元素全体の生産量首位は中国で約98%(2006年)を占める.Dyを含む中重希土類は華南地域でのみ産出する.希土類埋蔵量首位は中国30%,ついでロシア諸国22%,アメリカ15%.融点1412 ℃,沸点2562 ℃.密度8.55 g cm-3(20 ℃).第一イオン化エネルギー5.939 eV.酸化数3.Dy3+ イオンの外殻電子配置は4f 9で塩は強い磁性を示す(磁気能率10.55μB).ほかの希土類元素と同様 Dyで化合物をつくる.結晶および水溶液は黄または黄緑色で,ホルミウムの化合物と同様にいちじるしい常磁性を示す.Dyのもっとも重要な用途は,Nd-Fe-B(ネオジム)磁石([別用語参照]希土類磁石)の高温域の保磁力・磁束密度を高めるはたらきをもつ添加剤で,近年価格が急上昇している.[CAS 7429-91-6]

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改訂新版 世界大百科事典 「ジスプロシウム」の意味・わかりやすい解説

ジスプロシウム
dysprosium

周期表第Ⅲ族に属する希土類元素の一つ。1886年フランスのボアボードランP.E.L.de Boisbaudran(1838-1912)は,スペクトルの研究からそれまで単一と思われていたホルミウムなる元素が,さらに一つの新元素を含むことを確かめ,ギリシア語のdysprosiōn(〈近づきがたい〉の意)からとって命名した。ユークセン石,フェルグソン石,ガドリン石などの鉱石中に他の希土類元素とともに存在する。塩化物の融解塩電解,あるいはフッ化物と金属カルシウムで還元すると単体が得られる。単体は軟らかく,展性に富んだ灰色の金属。結晶格子は六方最密格子。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジスプロシウム」の意味・わかりやすい解説

ジスプロシウム
dysprosium

元素記号 Dy ,原子番号 66,原子量 162.50。周期表3族,希土類元素でランタノイド元素の1つ。 1886年に L.ボアボードランが発見。天然にはガドリン石,ゼノタイム,サマルスキー石,その他の希土類元素鉱物中に少量含まれる。火成岩平均含有量 3.0ppm,海水中の平均値 0.003 μg/l 。他の希土類元素と常時随伴するので,精製はイオン交換法による。単体は金属元素で,融点 1407℃,比重 8.536,酸化数3。化合物の結晶や水溶液の色は黄色ないし黄緑色。中性子吸収断面積が大きいのが特徴。

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百科事典マイペディア 「ジスプロシウム」の意味・わかりやすい解説

ジスプロシウム

元素記号はDy。原子番号66,原子量162.500。融点1407℃。希土類元素の一つ。1886年ボアボードランが発見。

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