日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボゴタ騒動」の意味・わかりやすい解説
ボゴタ騒動
ぼごたそうどう
bogotazo
1948年4月9日、コロンビアのボゴタ市内で起きた暴動。市内だけで約3000人の死者を出した。事件の発端は、自由党左派指導者ガイタンが路上で暗殺され、それが政権を握っていた保守党大統領ペレスの謀略によるとの流言であった。当時コロンビアの政治は、反教会権力主義者、連邦主義者からなる自由党派と大地主・教会を中心とする保守党派との間に根深い対立が続いていた。ガイタンは自由党の要職にありながらも、急増する労働者や農民などの大衆に政治参加を呼びかけたため、党内部に分裂を招いた。1945年の大統領選挙で、保守党のペレスはガイタンに勝利したものの議会は反対派に支配され、政情は不安の極に達した。ガイタン暗殺を右翼保守党派の凶行とみなす民衆は政府庁舎、教会、商店や高級邸宅を襲い、暴行、略奪を行った。暴動は全国に波及したが指導力を欠いたため革命に発展しなかった。ガイタン暗殺の日、同市では米州国際会議(汎(はん)アメリカ会議)が開催されていた。
[寿里順平]