ボスコビチ(その他表記)Rudjer Josif Bošković

改訂新版 世界大百科事典 「ボスコビチ」の意味・わかりやすい解説

ボスコビチ
Rudjer Josif Bošković
生没年:1711-87

イタリアの数学者,自然哲学者。クロアチアドゥブロブニクの生れ。イエズス会の学校で学んで司祭となり,ローマのイエズス会学院の数学教授,さらにパビア大学の数学教授となり,ミラノの天文台の創設に尽力した。のちフランスで光学に取り組む。ローヤル・ソサエティ会員。実際的な側面では,天文学,光学,測地学などに業績があるが,むしろニュートンに対する批判者として知られる。主著《自然哲学の理論》(1758)は,一種の力一元論であり,物質のさまざまな物理・化学的性質を,引力斥力のみによって説明しようとした。ライプニッツにも影響を受け,原子の実体性を否定し,物質粒子も一種の場(19世紀の概念を用いれば)であると考えた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のボスコビチの言及

【力】より

…こうした考え方の最も徹底した形は〈力動説〉もしくは〈力本説〉(英語ではdynamism)と呼ばれる哲学上の主張になる。R.J.ボスコビチに代表されるこの立場は,物質を二義的なものとして,自然の根元的な実体を力と考え,原子もまたそうした力の場としてとらえるものである。カントにも同様の着想を認めることができ,19世紀後半の電磁場や,最も現代的な素粒子論における素粒子の抽象空間への還元への先駆ともいえるものとなった。…

※「ボスコビチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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