ボディ族(読み)ボディぞく(その他表記)Bodi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボディ族」の意味・わかりやすい解説

ボディ族
ボディぞく
Bodi

エチオピア南西部に居住するナイル語系の一民族。言語はナイロ=サハラ語族のスルマ系に属する。ボディという名称は,ボディ族の東部に住む農耕民がつけたもので,現在行政的にもこの語が使用されているが,自称メエン me'enまたはメケン mekenは「人間」を意味している。メエン (メケン) を自称する人々のうち,オモ川中流の東部サバナに住み,2つの支族 (メラ,チリム) から成るグループをボディといい,その対岸のオモ川西部の山岳地域に住むメエンの5つの支族 (ニョモニ,ガビヨ,カシャ,ボコル,バイティ) は,ティシャナと包括的に呼ばれ区別されている。おもに牛,やぎに依存しながら遊牧し,部分的にもろこし,とうもろこしの焼畑農耕を営む。牧畜を主とするボディは,比較的小高い丘に2~10戸のホームステッドから成る集落を形成し,10日~3ヵ月程度で移動する。しかし近隣牧畜民との戦闘時には,50戸近くの集落を形成することもある。1つのホームステッドは,兄弟とその複数の妻たちが住む小さな草ぶきの家から成り,集落は原則として同じ父系出自集団より構成されるが,姻族を含むこともある。集団は,2つの半族 (コモとコルオ) に分れ,各半族は約 10の父系出自集団を含んでいる。結婚は半族相互間で行われ,通常 28もしくは 24頭の牛と銃1丁の婚資が支払われる。コモは社会的に優位を占め,儀礼的首長はコモの特定の父系出自集団から選出される。成員各自が特定の色・模様の牛にちなんだ名前をもち,それらの牛を自己同一化の対象としており,個人のになう色・模様は,名づけにより体系的に継承されていく。また,雨乞い儀礼には,稲妻に見立てた模様の牛が犠牲にされるなど,森羅万象にそれぞれ決った色・模様を反映させて,その世界観は成り立っている。

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世界大百科事典(旧版)内のボディ族の言及

【アフリカ】より

…アフリカは面積3030万km2,人口7億2036万(1996),面積ではアジアに次ぐ世界第2の大陸である。赤道をはさんで同心円状に,熱帯雨林,サバンナ,砂漠,地中海気候帯と多様な自然をもっている。サハラ砂漠をはさんで,北は西アジア・地中海世界とひとつづきのハム・セム系の文化をもつ白人(コーカソイド)が支配的な白人アフリカ,南は,ピグミーやコイサン(サン,コイ・コイン)の非黒人先住民と,おそらく北西部から移住拡散した黒人(ニグロイド)の世界,すなわち黒人アフリカである。…

【ウシ(牛)】より

… 他方,東アフリカの牛遊牧民は,固有のしかたで牛を思考や表現の素材として用いている。スーダンのヌエル族,エチオピアのボディ族で典型的に認められるが,彼らは,多様な牛の身体模様のパターンを,色,模様のあり方についての微細で多様な分類によって区別して認識している。しかもその分類語彙(ごい)は,他の自然物の形容にも転用される基本的語彙群をなしている。…

※「ボディ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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