改訂新版 世界大百科事典 「ボブロフスキ」の意味・わかりやすい解説
ボブロフスキ
Johannes Bobrowski
生没年:1917-65
東ドイツの詩人。東プロイセンの国境の町ティルジット(現,ロシア領)にポーランド系鉄道員の息子として生まれ,首都ケーニヒスベルク(現,カリーニングラード)で少年時代を過ごしたのち,1938年に一家でベルリンへ移住した。第2次大戦後はドイツ民主共和国に属し,処女詩集《サルマティアの時代》(1961)で世に出た。短期間の詩作活動を通して,ドイツ人が中世以来の東欧政策の歴史のなかで犯してきた東欧諸民族に対する罪禍をキリスト教的人間愛の立場から告発し続け,東西両ドイツから高く評価された。作品はどれも生地東欧スラブの自然,歴史,文化に深く根ざしており,長編小説《レビンの水車場》(1964),《リトアニアのピアノ》(1966)は方言を交えた素朴な民話調で農村生活の喜怒哀楽をユーモラスに描きながら,あらゆる現代的な小説技法を取り入れて,表現形式の点でもきわめてアクチュアルな作品となっている。
執筆者:石丸 昭二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報