日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボヘミアの森」の意味・わかりやすい解説
ボヘミアの森
ぼへみあのもり
Bohemian Forest
チェコとドイツとの国境一帯に、北西から南東にかけて連なる山地。ドイツ語名ベーマーワルトBöhmerwald。チェコのボヘミア山脈Bohemian Massifとよばれる台地の南西縁にあたる。全長約240キロメートル、最高点はグローサー・アルバー山Grosser Arberの1457メートル。主として片麻(へんま)岩からなる傾動地塊とみられる。北西はチェコ語でチェスキー・レスČeský Lesとよばれる丘陵地で、ボヘミアの森の名で知られるのはおもにこの部分である。南東部に比べて起伏が穏やかで、農牧業が営まれる。南東部はシュマバŠumava山地とよばれ、北西部よりも高く(平均1067メートル)、最高点もこちらにあり、寒冷で農地が少なく森林や湿地が多い。南東部山麓(さんろく)に直交する地溝があり、直交点の峠(標高452メートル)をチェコのプルゼニからドイツのニュルンベルクに至る鉄道が通る。ボヘミアの森にはガラス工業と製粉業が立地する。
[三井嘉都夫]