茎,樹幹,根などが,かつて生育していたときの状態に近い姿で化石となって地層中に埋もれている場合をいう。化石林をつくっているそれぞれの樹幹は,一般にケイ化木になっていることが多い。埋没林submerged forest(submarine forest)という用語が用いられることもあるが,これが地質時代の森林であるときは,この埋没林は化石林である。ごく最近の森林が湖水面や海水面の上昇(または陸地の沈降)によって湖底や海底に沈んでいる場合は,これらはたんに埋没林といい,化石林とはいわない。日本では,富山県魚津市(第四紀,特別天然記念物),東京都八王子市(第四紀のはじめ),四国久万炭田(古第三紀),石川県手取川流域(白亜紀)の針葉樹化石林,新潟県糸魚川市榀谷(しなだに)のトクサ化石林などがあり,当時の植生の状態を知るのに役立つ。イギリス,グラスゴーのビクトリア公園には,石炭紀(およそ3億年前)の鱗木(りんぼく)の化石林が発掘・展示されている。
執筆者:木村 達明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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